環境感染
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有芽胞菌を含めた各種細菌および肝炎ウィルスに対する過酢酸製剤の効果について
岩井 友美茅野 崇吉田 敦奥住 捷子森屋 恭爾木村 哲
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2003 年 18 巻 4 号 p. 395-400

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抄録
内視鏡等の医療器具の消毒に使用されるグルタールアルデヒドは毒性や環境汚染の問題がある.その代替消毒薬として注目される過酢酸製剤について, 各種細菌および肝炎ウィルスに対する効果を検討した.
その結果, 常用濃度の0.3%過酢酸はStaphylococcus aureus, Pseudomonas aeruginosa, Bacillussubtilisの芽胞を1分以内に, Mycobacterium aviumを3分以内に殺菌した.C型肝炎ウィルス (HCV) に対する効果は, PCR法では血清を50倍希釈 (HCV量;約106kIU/mL) ・100倍希釈 (HCV量;約53kIU/mL), 接触時間30分で核酸断片 (144bp) が検出されなくなった.TRC反応では血清を100倍希釈 (HCV量;約53kIU/mL), 接触時間10分で検出感度以下となった.B型肝炎ウィルス (HBV) に対する効果はPCR法で血清を10倍希釈 (HBV量;約6.3LGE/mL), 接触時間5分で核酸断片 (432pb) が検出されなくなった.
今回の検討から, 過酢酸製剤は芽胞を含む各種細菌, B型・C型肝炎ウィルスに有効であることが確認できた.低毒性の過酢酸製剤はグルタールアルデヒドの代替消毒薬として医療器具の消毒に有用であると考えられる.
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© 日本環境感染学会
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