環境感染
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加湿器肺予防のための在宅での加湿器洗浄と消毒法の検討
小椋 正道矢野 久子加藤 宗博山本 俊信中村 敦岡本 典子脇本 幸夫高阪 好充小柏 均多和田 行男椙谷 康一内村 勝好上田 明宏奥住 捷子溝上 雅史
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キーワード: 在宅, 加湿器肺, 加湿器洗浄
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2006 年 21 巻 2 号 p. 109-114

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抄録
自宅環境に起因すると推測された原因不明の発熱と呼吸困難の患者を2名経験した. 共に患者宅の超音波式加湿器から検出された微生物と患者血清間で沈降反応が陽性を示し, 加湿器肺が強く疑われた. この2名の患者の共通点は加湿器を洗浄せずに水を継ぎ足すのみで使用しており, 加湿器内部が肉眼で確認できるほど汚れていたことであった. このため, 在宅における加湿器肺の発症と加湿器の微生物汚染には深い関係があると推測された. そこで, 加湿器内に加湿器肺の原因微生物を人工的に接種し, 加湿器内における原因微生物の増殖状況の調査および在宅で実施できる洗浄方法による洗浄試験を行った. その結果, 何らかの原因で加湿器内に微生物が混入し, 加湿器の洗浄.消毒を行わずに使用すると, 加湿器水の入れ換えを行っても入れ換え後5日目には加湿器内に残存した微生物が増殖し, 入れ換え前の汚染状況と同等もしくはそれ以上の汚染状況となることが明らかとなった. 加湿器の洗浄試験では水洗いや中性洗剤による洗浄では菌の残存が認められ, 次亜塩素酸ナトリウム液0.01%に2時間浸漬した場合は生菌の検出は認められなかった. 在宅における加湿器肺の発症を未然に防ぐためには, 加湿器本体に洗浄の必要性を記載するなど加湿器の定期的な洗浄が必要であることを広く世間一般に認知させること, 洗浄の際には定期的に次亜塩素酸ナトリウムを用いること, が非常に重要であると推察された.
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© 日本環境感染学会
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