環境感染
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産婦人科領域の癌化学療法を受ける患者に対する感染予防指導
在宅療養時の感染予防のためのパンフレットの試作
三田 由美子藤田 由紀子高崎 晴子雨宮 みち竹村 弘
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キーワード: 感染予防指導, 在宅療養
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2006 年 21 巻 2 号 p. 126-129

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抄録

癌化学療法を受けた患者は骨髄抑制などによって易感染状態にあり, 在宅療養のためには感染予防対策に関する綿密な指導が必要である. 今回我々は産婦人科病棟で癌化学療法を受けた患者を対象にして, 感染予防に関する指導内容を見直すとともにパンフレットを用いた指導を開始し, その効果を検討した. まず在宅での感染予防についての問題点を患者に面談することによって洗い出した.(1) 食事に関すること,(2) 清潔に関すること,(3) 外出に関することなどの問題点があげられ, これらを基にパンフレットを作成した. これを用いて感染予防の方法を具体的に説明するとともに, 手洗いの方法については実演指導を行った. その結果, 患者の行動に1) 外出から帰宅後, 調理の前後などに手を洗うようになった, 2) タオルを個人で専用化するようになった, 3) 毎日シャワー, 入浴, 清拭などを行えるようになった, 4) 外出時は必ずマスクを着用するようになったなどの変化がみられた. また, 家族についても, 1) 患者と同様に手洗いをするようになった, 2) 家事などで患者に協力するようになったなどの効果が見られた. また, パンフレットを作成したことによって, 医療従事者の感染防止指導法を標準化することができた. さらに個人にあわせた指導を追加する事によって, より効果的な指導が可能になり, 家族の理解や協力も得られ易いと考えられた.

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© 日本環境感染学会
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