環境感染
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脳疾患急性期における尿路感染症予防
尿道留置カテーテル使用に関する段階的手法と間欠導尿時の消毒廃止について
田島 愛河内 ゆかり東 初美北島 敬子菅原 園子稲富 雄一郎
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2006 年 21 巻 2 号 p. 96-102

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抄録
急性期脳疾患における尿路感染予防対策として, 尿道留置カテーテル抜去基準の標準化は重要である. また尿道留置カテの早期抜去促進に伴い増加する間欠導尿時の消毒の是非は未確定である. そこで, 検討1. 尿道留置カテーテル抜去基準排尿管理段階的手法による排尿管理と, 検討2. 間欠導尿手技の消毒廃止を含む標準化を導入した.両施策の妥当性を検証した. まず検討1では当病棟で作成した尿道留置カテーテル抜去基準アルゴリズム導入前後の尿路感染症発生率を比較した. この結果, 排尿管理アルゴリズム導入後に100在室日数あたり尿道留置カテーテル使用率は前年度同期と比較して10.4から12.8へと有意に増加した (p<0.001).しかし, 1000在室あたり尿路感染症発生率は5.5から4.1と減少傾向 (p=0.275) を認めた. 検討2では間欠導尿手技の消毒廃止を含む標準化導入前後での間欠導尿患者を消毒群135例, 非消毒群50例の2群とし, 尿路感染症発生率を群間比較した. この結果, 消毒群と, 非消毒群の尿路感染症発生率は消毒群30例 (22%), 非消毒群13例 (26%) であり, 有意差は認めなかった (p=0.589).
今回の両検討は尿路感染予防策として妥当と考える. 今後もこの取り組みを継続し, さらなる疾患の特性に基づいた尿路感染予防策について考えていくことがケアの質の向上につながると考える.
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© 日本環境感染学会
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