環境感染
Online ISSN : 1884-2429
Print ISSN : 0918-3337
ISSN-L : 0918-3337
術前薬液シャワー浴の心臓血管外科手術部位感染に対する予防効果
和田 陽子白井 美紀大崎 角栄金沢 宏吉川 博子
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 22 巻 1 号 p. 19-22

詳細
抄録
心臓血管外科手術症例を対象とした手術部位感染 (SSI) サーベイランスの結果を基に, 2000年から剃刀を使用した術前剃毛から電動クリッパーを使用した除毛への変更や当日除毛の施行等を実施し, SSI発生の減少に有効な結果を示してきた.2001年10月より消毒薬を使用したスクラブ法によるシャワー浴 (以下薬液シャワー浴とする) を開始し, 心臓大血管手術と人工血管使用血管手術症例を対象としたSSIサーベイランスの結果をもとに術前薬液シャワー浴の効果について検討した.薬液シャワー浴開始前後のSSI発生率を比較すると, 薬液シャワー浴開始前 (2001年4月から9月) は9.5% (手術件数74件, SSI発生数7例) であったが, 薬液シャワー浴を開始してから (2001年10月から2002年9月) は4.8% (手術件数186件, SSI発生数9例) となった.また薬液シャワー浴を対象者全例で手術当日朝の実施に変更した2002年10月から2004年4月までのSSI発生率は3.7% (手術件数328件, SSI発生12例) となり, 薬液シャワー浴開始前のSSI発生率と比較し有意に低下した (P=0.034).以上の結果より, 術前における薬液シャワー浴はSSI発生の予防に有効であることが示唆された.
著者関連情報
© 日本環境感染学会
前の記事 次の記事
feedback
Top