環境感染
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尿道留置カテーテル関連尿路感染サーベイランスにおける感染率とカテーテル留置期間の検討
吉本 静雄山平 真弓岡内 里美鉦谷 久美子
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2007 年 22 巻 1 号 p. 4-18

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抄録
2000. 5.~2005. 12.の尿道留置カテーテル関連尿路感染 (CRUTI) サーベイランス期間の感染率を, 留置日数別 (1~5日, 6~10日, 11~30日, 31日以上) および留置境界日数 (3, 5, 7, 10, 14, 17, 20日) 以内の短期留置例と境界日数を超える長期留置例別に集計し, さらに, 2000. 5.-2006. 4.の全留置例について, 留置時尿培養陽性例と陰性例に分けて感染率を算出して各感染率の統計学的有意差検定を行った. 総カテーテル日数は7151, 総カテーテル数は889本. 45本が感染判定され, 感染率は6.29であった. 留置日数と感染率は1-5日: 2.73, 6~10日: 3.56, 11~30日: 8.35, 31日以上: 8.47で, 6~10日から11~30日への感染率の上昇が顕著であった.境界日数による短期例・長期例の感染率は, 3日: 0・7.04, 5日: 2.73・7.20, 7日: 2.81・7.77, 10日: 3.14・8・39, 14日: 4.22・8.33, 17日: 5.69・7.14, 20日: 5.50・7.83であり, 境界日数14日までの感染率に有意差を認めた. 留置時培養陽性例と陰性例の感染率は各々18.69, 7.07であり, 陽性例の感染率が有意に高かった (P: 0.0074). 以上より, 尿道留置カテーテルは14日以内に留置を中止することがCRUTIを最小限に抑制するためには必要であり, CRUTIサーベイランスによるCRUTI対策の評価にはカテーテル留置時の尿培養結果を考慮することが必要である.
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© 日本環境感染学会
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