環境感染
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NICUにおけるクベース収容児のMRSA保菌率の減少
一処置一手洗い及び手袋着用の導入と感染予防行動の定着の効果
渡部 節子下之薗 ルリ子大日向 里美藤田 陽子
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2007 年 22 巻 2 号 p. 98-104

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抄録
NICUにおけるMRSAは, 手洗いの励行や隔離処置にも関わらず保菌率が高く, 院内感染として重要な問題となっている.当院においても流水と石鹸または消毒薬による手洗いの励行, 手指消毒薬の使用など感染予防策を推進してきたが, MRSA保菌率を減少させるには至らなかった.そこで今回, 新たな感染対策として医療従事者の一処置一手洗い (手指消毒) 及び手袋着用の導入とその定着を試みた.その結果, 医療従事者の感染予防行動の定着と共に, NICUにおける入院児の新規MRSA保菌率が対策前1年間 (2000年8月-2001年7月) で平均8.8%であったのに対し, 対策後1年間 (2001年8月~2002年7月) は0%となり, また, 対策後5年間 (2001年8月~2006年7月) の平均は2.1%と減少した.
以上のことから, NICUにおけるMRSA伝播予防対策として, 一処置一手洗い (手指消毒) もしくは手袋着用は有効であることがいえる.
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© 日本環境感染学会
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