環境感染
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泌尿器科領域における術後感染とその対策
松本 哲朗田中 正利野間 秀哉熊澤 淨一
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1989 年 4 巻 2 号 p. 33-38

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抄録

泌尿器科領域における術後感染症の実態調査を行い, 以下の結論を得た. 泌尿器科手術後の尿路感染は3.5%, 創感染は1.7%の頻度で発生し, 術後尿路感染症は腎盂形成術, VUR防止術, 内尿道切開等のカテーテル留置期間の長い手術に多く, 分離菌はEnterobacterspp.が主であった. 創感染は根治的膀胱全摘除術後にもっとも多く認められ, 腸管利用尿路変更術との関連が考えられた.創感染分離菌はBacteroidesspp.を主体とする嫌気性菌と好気性グラム陽性球菌が大部分を占めた. 根治的膀胱全摘除術兼腸管利用尿路変更術においては, 術前腸管処理をKanamycin内服からTobramycinとVancomycinの内服へ変更したところ, 術後感染を撲滅しえた. この腸管処理法においては, 腸内細菌叢としての嫌気性菌と, Pseudomonasspp.およびCandidaspp.を除く好気性菌を減少させえた.このことが, 術後創感染の制御に関連したものと思われた.

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© 日本環境感染学会
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