環境感染
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外科領域における中心静脈カテーテル感染の検討
花谷 勇治蓮見 直彦高見 博浅越 辰男四方 淳一
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1991 年 6 巻 1 号 p. 9-15

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抄録
1989年1月から1990年12月までの2年間に321例に422本の中心静脈カテーテルを留置した. このうち57例 (17.8%), 65本 (15.4%) にカテーテル感染を認めた.
感染例はカテーテル留置後2-3週間と比較的早期に集中して発生しており, 留置期間が長くなっても感染頻度が高まる傾向は認められなかった. 感染群の平均カテーテル留置期間は非感染群に比べ有意に短期間であった (P<0.05). カテーテル留置期間が14日以内の症例の感染発生頻度は15日以上留置症例に比べ有意に高率であった (P<0.01). カテーテル感染頻度は年齢, 基礎疾患の良悪, 併存症の有無, 手術および抗生物質投与の有無には影響されなかった.
カテーテル先端および血液培養から45株の菌を検出した. このうち多剤耐性ブドウ球菌 (11株), 緑膿菌 (4株), 真菌 (19株) などのいわゆる耐性菌が80%を占めた. グラム陽性球菌のみが検出された症例の最高体温は, 真菌のみ (P<0.05) あるいはグラム陰性桿菌 (P<0.01) が検出された症例に比べ有意に低値であったが, その他の臨床所見には検出菌による差を認めなかった.
カテーテル感染陽性の57例中8例にショック, 急性腎不全, 肺炎などの合併症を認めた. 合併症発生群の白血球数および最高体温は非発生群に比べ有意に高値を示した (P<0.001). 発熱からカテーテル抜去までの期間は合併症発生群のほうが有意に長期間であった (p<0.05).
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© 日本環境感染学会
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