予防精神医学
Online ISSN : 2433-4499
学校における精神疾患に関する教育の意義
森 良一
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2022 年 7 巻 1 号 p. 69-76

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抄録
精神疾患に関する教育内容は、公益財団法人日本学校保健会の委員会や中央教育審議会での議論を踏まえて、最終的に文部科学省が高等学校学習指導要領に位置づけた。 学習指導要領の教科に位置づくことで、教科書ができ、日本のすべての高等学校において精神疾患に関する内容が指導される。また、国や都道府県の教員研修において、精神疾患に関する内容が取り上げられ、学校での理解が深まる。さらに、大学の保健体育に関する教職課程の授業で精神疾患に関する内容が指導され、教職を目指す大学生の理解も促進される。  このように教育内容として位置づくことで、対象者とそれにかかわる人々の精神疾患に関する理解を深め、様々な効果が期待できる。一方で、実施する上での課題や検討事項もある。課題としては、医学用語と教育用語の差異の検討や、精神疾患に罹患している生徒の授業への参加の仕方など様々なことがあげられる。これらの課題解決の方向性や高等学校の教育の検証を行う必要性、さらには、義務教育段階での教育への位置づけについて考えていきたい。
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© 2022 日本精神保健・予防学会
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