予防精神医学
Online ISSN : 2433-4499
摂食障害の早期発見と早期介入に向けて
中里 道子大渓 俊幸
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2024 年 9 巻 1 号 p. 30-37

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抄録
摂食障害(Eating Disorders:ED)の中でも、神経性やせ症(Anorexia Nervosa: AN)は、著しい低体重、肥満恐怖、体形や体重の体験の仕方の障害を呈する難治の精神疾患であり、最も死亡率の高い精神疾患である。発症年齢のピークは思春期であり、早期介入は、症状の回復にとって重要である。摂食障害の簡易スクリーニング質問票、the sick, control, one stone, fat, food : SCOFFは、諸外国で摂食障害のスクリーニング検査として信頼性と妥当性が実証され、学校や地域の摂食障害のスクリーニングに幅広く活用されている。 摂食障害の予防的介入として、不協和理論に基づくボディプロジェクト、迅速早期介入として、摂食障害早期介入サービスモデル、FREED(first episode rapid early intervention for eating disorders)モデルの効果が検証されている。本項では、大学生を対象とした、摂食障害診断質問票:the Eating Disorder Examination-Questionnaire(EDEQ)を用いた摂食障害症状、 Body Mass Index(BMI)の予備調査の概要と、摂食障害の予防プログラム、早期介入モデルの先行研究をレビューし、EDの早期発見と早期介入について考察する。EDの早期発見から早期介入に向けて、学校と地域、医療の連携システム構築、本領域の研究の発展が期待される。
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© 2024 日本精神保健・予防学会
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