抄録
腹腔鏡下前立腺全摘除術(Laparoscopic radical prostatectomy:以下LRPと略す)はわが国では1999年末に開始された.日本内視鏡外科学会の2年毎のアンケート調査によると,2009年には1,217例を数え,1999年からの合計では5,108例になる.そこで,比較的早くからLRPを行ってきた施設では,制癌性ならびに尿禁制,性機能を含めたQOLの長期成績の解析が期待できる.本特集では中川健先生(慶應義塾大学),臼井幸男先生(東海大学),田中一志先生(神戸大学),木村高弘先生(東京慈恵会医科大学)の4人の先生に,様々な角度からLRPに焦点を当て,それぞれの施設での経験を解析していただいた.制癌性の向上を目指す切除断端陽性率抑制のための工夫,尿禁制ならびに性機能回復向上を目指すDVC処理や神経血管束温存の工夫などを,先駆者の経験から学びとることができれば幸いである.