2013 年 26 巻 1 号 p. 41-44
【目的】副腎性クッシング症候群への治療介入に異論はない.一方,サブクリニカルクッシング症候群への積極的治療介入はいまだ十分なコンセンサスは得られていない.そこで,当院おけるサブクリニカルクッシング症候群の手術及び内分泌学的長期成績をクッシング症候群と比較しながら考察を加えた.
【方法】1994年から2008年までの15年間に東北大学泌尿器科で腹腔鏡手術を行ったクッシング症候群59例,サブクリニカルクッシング症候群55例の検討を行った.
【成績】サブクリニカルクッシング症候群はクッシング症候群と比較して年齢が高かったが(46歳 vs. 58歳),高血圧,糖尿病,高脂血症,心血管系疾患といった関連併存疾患は2群間で差がなかった.サブクリニカルクッシング症候群において,術前認めた高血圧が67%,糖尿病が47%,高脂血症が20%改善して,HbA1Cも7.8から6.5へ有意に低下した.手術成績は,周術期合併症も含めて2群間で差がなかった.
【結論】サブクリニカルクッシング症候群は,クッシング症候群特有の身体徴候はないが,コルチゾール自律分泌能があり,高血圧・耐糖能異常・高脂血症の合併頻度は高い.クッシング症候群同様に症状改善が期待できるため,積極的に治療介入すべきである.