Japanese Journal of Endourology
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26 巻, 1 号
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特集1:ロボット支援腎部分切除術の導入と手術手技
  • 白木 良一
    2013 年 26 巻 1 号 p. 1
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
      2012年4月にロボット支援前立腺癌手術(RALP)の健康保険が認可され我が国のダビンチ導入数は急増し,2013年には米国に次ぎ世界第二位となった.泌尿器科領域のロボット支援手術では,ロボット支援腎部分切除術(RALPN)がRALPに次ぐ症例数である.
      小径腎腫瘍に対する腎温存手術(nephron-sparing surgery;NSS)は各種ガイドラインにおいても第一選択となっており,腎機能の温存(eGFR値)が生命予後に影響することは一定のコンセンサスを得ている.NSSでは低侵襲性の観点より腹腔鏡下腎部分切除術(LPN)がトレンドとなっている.しかし,LPNでは鉗子操作の制限やWITの時間的制約により,出血のコントロールや温阻血時間(WIT)延長による残腎機能障害,術後出血,尿リーク等の合併症リスクが高まる傾向も認められる.一方でNSSを選択する場合,腹腔鏡下根治的腎摘除術の適応となる症例(T1b, T2a等)に比べ腫瘍径が小さいにも関わらず,切開創が大きい開放腎部分切除術(OPN)とならざるを得ないケースもある.RALPNは鉗子操作の制限を改善し腫瘍切離や止血縫合などの手技が安定したことで,低侵襲性を維持した上に術後QOLの改善にも繋がる.しかし,RALPNはRALPと異なり,腫瘍サイズ,位置,腎血管の解剖,患者条件などによりアプローチや血管処理に様々なバリエーションがありラーニング・カーブも存在する.
      現在,JSEはRALPN施行例の全国統計を取り纏め,先進医療そして将来的には健康保険の適応を目指している.そのためにもRALPNが安全に導入され,本術式が患者QOLおよび予後の改善に繋がり本邦に定着することが重要である.本特集では我が国でRALPNを早期に導入された先生方に御執筆頂き個別のテーマとして,服部良平先生(名古屋大学)にはロボット支援腎部分切除術導入のメリット・デメリット,亭島淳先生(広島大学)には経腹膜アプローチ,丸山高広先生(藤田保健衛生大学)には後腹膜アプローチ,田中一志先生(神戸大学)にはRenorrhaphyについて,各々の施設でのご経験を含め解説頂いた.
      この特集が読者の皆様にとりロボット支援腎部分切除術を安全に導入し,さらに発展し患者様のQOLや予後の改善の一助になれば幸いである.
  • 服部 良平
    2013 年 26 巻 1 号 p. 2-6
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
      腎部分切除術は腹腔鏡手術の発展とともに腹腔鏡下腎部分切除術(LPN)が広く行われているが,阻血時間が限られているため熟練した技術が必要とされている.da Vinciを用いたロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術 (RAPN)は,3D画像による良好な視認性と鉗子の自由な操作性によりLPNの技術的困難さを克服しているため,世界で急速に増加しつつある.我が国でも現在のda Vinciの導入状況から考えるとRAPNが保険診療で認められるようになれば一挙に増加することが予想される.
      腎部分切除術は大血管に近い部位での手術であることと症例毎に難易度が異なることを理解した上での導入が必要である.本稿ではRAPNで期待されるmeritだけではなくdemerit,限界についても報告されている手術成績,合併症,経済的観点などから文献的に考察した.
  • 亭島 淳, 松原 昭郎
    2013 年 26 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
      腹腔鏡下腎部分切除術における腫瘍切離および縫合操作は技術的難易度が高く克服すべき課題の1つである.広島大学病院泌尿器科では小径腎腫瘍に対し,ダヴィンチS-HDを用いた経腹膜的アプローチによるロボット支援腎部分切除術(RAPN)を導入した.これまで経験した5例の温阻血時間は14~25(中央値21)分で,全例,輸血,開腹移行をきたすことなく完遂し,翌日から経口摂取および歩行開始が可能であった.術後合併症も認めていない.ダヴィンチS-HDの持つ高解像度の3D視野,関節機能を有する鉗子,手ぶれ防止機能,TileProTMマルチ・ディスプレイによる画像の投影機能によって,RAPNでは従来の鏡視下手術に比較してより繊細かつ安定した手術操作が可能である.今後は従来の腹腔鏡下腎部分切除術では切除困難な症例に対するさらなる有用性が期待される.
  • 丸山 高広, 白木 良一, 星長 清隆
    2013 年 26 巻 1 号 p. 13-17
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
      後腹膜アプローチによる腹腔鏡下腎部分切除術は腎腫瘍に対する低侵襲手術として理想的な術式と考えられる.しかし,狭い操作腔に加え鉗子操作の難易度は高く,温阻血時間(WIT)の延長や後出血,尿漏等の合併症リスクが高まる傾向にある.これらを改善する目的でロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術(RALPN)を導入し,2012年末までに6例に施行した.腫瘍径は15-35mm,WITは17-44分.術後合併症や後出血はなく,切除断端はいずれも陰性.また,術前後のeGFR変化は軽微であった.ロボット支援の導入により,狭い後腹膜腔においても低侵襲で有効かつ安全な治療が可能であった.さらに,最近の症例で導入した4thアームの追加やAirSeal System等も,より安定した手術操作のために有用性と考えられた.
  • 田中 一志, 藤澤 正人
    2013 年 26 巻 1 号 p. 18-22
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
      現在,T1a腎癌に対して腎部分切除術が標準術式になってきている.同手術は従来開放性手術で行われていたが,低侵襲手術として腹腔鏡手術が行われるようになった.しかしながらその難易度は高く,特にrenorrhaphyでは高度の技術が要求される.手術支援ロボット(da Vinci Surgical System)は高解解像度3D視野,多自由度鉗子,手ぶれ防止機構,などの特徴を備えており,腎部分切除術において,とりわけrenorrhaphyにおいては有効であると考えられる.本稿では神戸大学での方法を中心にロボット支援腎部分切除術におけるrenorrhaphyについて概説する.
特集2:連載“長期成績”─Ⅷ.副腎摘除術─
  • 荒井 陽一
    2013 年 26 巻 1 号 p. 23
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
     腹腔鏡下副腎摘除術は1993年に本邦から最初に報告された.その後,本学会の精力的な活動によって術式の標準化が達成され,いまや副腎手術のスタンダードになっている.最初の報告から20年が経過し,長期成績をテーマに特集が企画されたことは誠に時宜を得たものと思われる.
     石戸谷滋人先生(東北大)には,原発性アルドステロン症の診断治療についてガイドラインを中心に解説いただいた.なかでも最近注目される微少腺腫の概念とその扱いがわかりやすく述べられている.内海孝信先生(千葉大学)は,原発性アルドステロン症の予後について,降圧剤内服中止を予測する因子を中心に詳細な検討結果を報告した.また術後降圧薬内服の中止を予測するモデルであるAldosteronoma Resolution Scoreの妥当性についての検証結果も興味深い.笠原 隆先生(新潟大)は,褐色細胞腫に対する腹腔鏡下副腎摘除術の治療成績を報告された.経験豊富な術者のもとで行われれば,腹腔鏡下手術は褐色細胞腫に対しても良好な成績が得られることを示している.宮里 実先生(琉球大)には,クッシング・サブクリニカルクッシング症候群を取り上げていただいた.サブクリニカルクッシング症候群は,クッシング症候群特有の身体徴候はないものの,コルチゾール自律分泌能があり,高血圧・耐糖能異常・高脂血症の合併頻度は高い.クッシング症候群同様に症状改善が期待できるため,積極的に治療介入の必要性が示されている.最後に高橋 渡先生(熊本大)に,転移性副腎腫瘍に対する腹腔鏡下副腎摘除術の意義を考察いただいた.転移性副腎腫瘍に対する外科的摘除術は未だ論議が多い.症例ごとに画像診断や原疾患である生物学的悪性度や全身状態を慎重に評価することで,転移性副腎腫瘍に対する有用な治療戦略となることが示されている.
     以上,どの論文も大変読み応えのある内容で,腹腔鏡下副腎摘除の歴史20年の節目に相応しい特集になったものと信ずる.日常臨床で少しでも役立てていただければ幸いである.
  • 石戸谷 滋人, 海法 康裕, 森本 玲, 佐藤 文俊, 荒井 陽一
    2013 年 26 巻 1 号 p. 24-28
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
  • 内海 孝信, 川村 幸治, 神谷 直人, 今本 敬, 納谷 幸男, 二瓶 直樹, 鈴木 啓悦, 市川 智彦
    2013 年 26 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
      原発性アルドステロン症(PA)は外科的に治療可能な二次性高血圧の一つであり,術後に血圧の低下や降圧薬内服の減量が可能となるが,術後降圧薬内服を中止できる症例は42%程度と報告されている.多くの文献では,片側のPAに対する腹腔鏡下副腎摘除術の高血圧治療成績を考えるとき,治療アウトカムに「術後降圧薬内服の中止」を設定し予測因子を検討している.文献で共通して報告されることが多い予測因子には,短い高血圧罹患年数や少ない術前降圧薬内服がある.また,術後降圧薬内服の中止に関する予測モデルとしてZarnegarらが作成したAldosteronoma Resolution Scoreが存在し,日本人患者においても外部検証で有用性が確認された.術後降圧薬内服の中止は,腹腔鏡下副腎摘除術を受けるPA患者が最も期待し実感できる治療効果であり,この治療成績を予測し説明することは患者本位の診療において重要であると考えられた.
  • 笠原 隆, 西山 勉, 黒木 大生, 高橋 公太
    2013 年 26 巻 1 号 p. 34-40
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
  • 宮里 実, 石戸谷 滋人, 斎藤 誠一, 荒井 陽一
    2013 年 26 巻 1 号 p. 41-44
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
     【目的】副腎性クッシング症候群への治療介入に異論はない.一方,サブクリニカルクッシング症候群への積極的治療介入はいまだ十分なコンセンサスは得られていない.そこで,当院おけるサブクリニカルクッシング症候群の手術及び内分泌学的長期成績をクッシング症候群と比較しながら考察を加えた.
     【方法】1994年から2008年までの15年間に東北大学泌尿器科で腹腔鏡手術を行ったクッシング症候群59例,サブクリニカルクッシング症候群55例の検討を行った.
     【成績】サブクリニカルクッシング症候群はクッシング症候群と比較して年齢が高かったが(46歳 vs. 58歳),高血圧,糖尿病,高脂血症,心血管系疾患といった関連併存疾患は2群間で差がなかった.サブクリニカルクッシング症候群において,術前認めた高血圧が67%,糖尿病が47%,高脂血症が20%改善して,HbA1Cも7.8から6.5へ有意に低下した.手術成績は,周術期合併症も含めて2群間で差がなかった.
     【結論】サブクリニカルクッシング症候群は,クッシング症候群特有の身体徴候はないが,コルチゾール自律分泌能があり,高血圧・耐糖能異常・高脂血症の合併頻度は高い.クッシング症候群同様に症状改善が期待できるため,積極的に治療介入すべきである.
  • 高橋 渡, 和田 孝浩, 田上 憲一郎, 立神 勝則, 内藤 誠二, 江藤 正俊
    2013 年 26 巻 1 号 p. 45-49
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
     転移性副腎腫瘍に対して腹腔鏡下副腎摘除術を施行された10例について調査を行った.原疾患は腎細胞癌3例,原発不明癌2例,肝細胞癌2例,メラノーマ1例,悪性リンパ腫1例,肺癌1例であり,他臓器への複数転移例が3例含まれていた.全例で開腹手術への移行なく安全に施行され,1例に肝損傷を認めた以外,重篤な合併症は認められなかった.生存期間は現在生存中の3例を含め中央値32ヶ月(5~75ヶ月)であり,良好な治療成績であった.ポート再発や腹膜播種を来たした症例は認めなかった.転移性副腎腫瘍に対する外科的摘除術は未だ論議の有るところではあるが,長期生存の報告が散見されており,担癌患者に対しても低侵襲治療である腹腔鏡下副腎摘除術は,症例ごとに画像診断や原疾患の生物学的悪性度や全身状態を慎重に評価することで,転移性副腎腫瘍に対する有用な治療戦略となることが示されてきている.
特集3:泌尿器疾患に対する単孔式腹腔鏡手術
  • 三股 浩光
    2013 年 26 巻 1 号 p. 50
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
     泌尿器疾患に対する単孔式腹腔鏡手術は,2007年にRaneらが単一創からの腹腔鏡下腎摘出術を行ったのが最初で,本邦では京都府立医大の河内先生らが2008年に開始した.その後は副腎摘出術,ドナー腎採取術,腎盂形成術,腎嚢胞切除術,前立腺全摘術,尿膜管摘出術などに試みられており,近年注目されている術式である.さらに欧米ではロボット支援腹腔鏡手術にも単孔式術式が応用されつつある.
     単孔式腹腔鏡手術はひとつの切開創から行う手術で,切開部位は臍部が最も多く,その他に側腹部や下腹部,傍腹直筋部も選択されている.手術に用いるアクセス・ポートや鉗子類,リトラクターには,様々な新規デバイスが開発されており,企業からもこの術式の将来性が期待されているものと思われる.
     単孔式腹腔鏡手術は,従来の腹腔鏡手術に比べて明らかに整容性に優れている点に異論はないものの,疼痛の軽減や術後の早期回復等の低侵襲性に関しては未だ明確な結論は出ていないのが現状である.本特集では小児泌尿器疾患に関して京都府立医大の河内先生,副腎疾患を慶応義塾大の中川先生,腎腫瘍に対する後腹膜アプローチを杏林大の桶川先生,経腹膜的アプローチを広島大の井上先生,ドナー腎採取に秋田大の羽渕先生,膀胱尿膜管疾患に大分大の佐藤先生にそれぞれの術式と今後の課題について詳述して頂いた.
     本特集が,単孔式腹腔鏡手術の導入を考慮されている先生方の一助となれば幸いである.
  • 矢野 公大, 内藤 泰行, 河内 明宏, 三木 恒治
    2013 年 26 巻 1 号 p. 51-53
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
     小児泌尿器科疾患に対する低侵襲手術として腹腔鏡手術が拡がり,腎盂形成術は腹腔鏡技術認定の審査対象術式にも指定されることになり,標準的術式として確立されつつある.更なる,低侵襲手術法として,単孔式腹腔鏡手術(Laparoendoscopic single-site surgery:LESS)が泌尿器科領域にもひろがり,小児症例に対するLESSの試みも少しずつみられる1-3)
     当科では2006年より小児泌尿器科疾患に対してLESSを開始し報告した4,5).まず,精索静脈瘤に対する血管結紮術を行い,尿管異所性開口に伴う低形成腎の腎摘除術さらに腎盂形成術,そして精巣摘除術・固定術をLESSで行った(Table 1).今回,当科で行ってきた小児泌尿器科疾患に対するLESS症例につきその術式と成績について報告する.
  • 中川 健, 宮嶋 哲, 金子 剛, 宮崎 保匡, 服部 盛也, 大家 基嗣
    2013 年 26 巻 1 号 p. 54-56
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
     単孔式腹腔鏡手術を2009年9月から副腎,腎摘除術,根治的前立腺全摘除術と順次導入した.副腎摘除術は単孔式腹腔鏡手術がルーティンとなり,2012年3月までに66例を経験した.今回,単孔式腹腔鏡下副腎摘除術の臨床的検討を行うと同時に,従来法腹腔鏡手術(70例)との比較を行った.手術は主にSILS portを使用し,従来法に準じた経腹膜到達法の術式を行った.全体の手術時間は133.4±47.0分で従来法より26分長かった.疾患別では原発性アルドステロン症で単孔式手術が114.9±27.8分(27例),従来法87.7±29.1分(30例),同様にクッシング症候群では133.0±41.9分(6例)と100.1±30.0分(20例),褐色細胞腫151.3±58.3分(20例)と154.0±48.0分(20例)で,褐色細胞腫では全く遜色がなかった.単孔式腹腔鏡下副腎摘除術で輸血症例はなく,最大出血量200ml,81.8%で出血は測定感度以下であった.また,60.0%の症例で術後鎮痛剤は不要であり,術後入院期間は中央値5日であった.これらすべてが従来法腹腔鏡手術と同等であった.さらなるラーニングカーブの改善も期待され,明らかに優れた整容性,従来法と同様の安全性,確実性から単孔式腹腔鏡下副腎摘除術は副腎腫瘍に対する手術療法の選択肢の一つとして積極的に考慮すべきものと考えられた.
  • 桶川 隆嗣, 板谷 直, 原 秀彦, 東原 英二, 奴田原 紀久雄
    2013 年 26 巻 1 号 p. 57-61
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
  • 井上 省吾, 梶原 充, 亭島 淳, 松原 昭郎
    2013 年 26 巻 1 号 p. 62-67
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
     低侵襲で優れた整容性が期待される術式として,2007年から単孔式腹腔鏡手術(laparoscopic single-site surgery; LESS surgery)が腎腫瘍において施行され,広島大学病院では2011年1月より腎細胞癌に対してLESSによる経腹膜的根治的腎摘除術(LESS腎摘除術)を開始した.11例の腎細胞癌に対してLESS腎摘除術を施行し,対象は男性6例,女性5例で平均年齢は54.9歳であった.患側は右4例,左7例で,最大腫瘍径の平均値は53.3mmであった.平均手術時間,出血量は175.5分,52.3mlで術中合併症を認めず,また従来法や開腹手術への移行なく手術を完遂した.同時期に当科で施行した20例の従来法との比較では,有意差は認めないがLESS腎摘除術の方が手術時間は短く出血量は少なかった.LESS腎摘除術では腎を取り出す際に5cm程度の皮膚切開が必要であるため,Parallel法を用いた従来法と同様の鉗子操作が可能になる.さらに経腹膜アプローチは後腹膜アプローチよりも操作腔が広く,従来法とほぼ同等の操作が可能となる.根治的腎摘除術は悪性腫瘍が対象のため根治性が最も重要であり,LESSの継続にこだわることで根治性や安全性を損なわないために,補助ポートの追加を躊躇しないことも重要になる.LESS腎摘除術は新しい術式であるため長期的観察ができておらず,低侵襲性や最も重要とされる悪性腫瘍に対する制癌性についても不明である.腹腔鏡手術が登場した際に行われたように,長期的かつ大規模な臨床研究が待たれる.
  • 井上 高光, 成田 伸太郎, 齋藤 満, 沼倉 一幸, 秋濱 晋, 土谷 順彦, 佐藤 滋, 羽渕 友則
    2013 年 26 巻 1 号 p. 68-73
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
     単孔式腹腔鏡下ドナー腎採取術(laparoendoscopic single-site donor nephrectomy:LESSDN)は侵襲性,美容の面でさらに利点が得られる可能性がある.単孔が2cmの場合は特殊鉗子が必須だが,単孔が5cm前後の場合はGelPOINTを使用しストレート鉗子のみで,安全に手術ができるので紹介する.2011年~2012年に施行したLESSDN 20例を2009年~2010年に施行した標準4ポートの術式の成績と比較した.LESSDN群の手術時間および温阻血時間,退院までの日数はStd-LDN群に比べて有意に短かった(p < 0.001, p = 0.015, p < 0.001).LESSDN群の平均創長は5.13 ± 0.31cmであった.移植腎機能発現遅延および開腹移行や輸血は両群で認めなかった.術後7日目のレシピエント血清クレアチニン値は両者に有意差がなかった.GelPOINTを用いたLESSDNは,ストレート鉗子のみで手術ができ,安全でより低侵襲であり,良好なグラフト機能を担保でき,かつ整容性が良好であることが示唆された.
  • 佐藤 文憲, 三股 浩光
    2013 年 26 巻 1 号 p. 74-77
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
     近年,腹腔鏡手術の新たな動向として,臓器摘出に最小限必要な単一創から行う単孔式腹腔鏡手術が注目され,その有用性が議論されている.臍の小切開創からアプローチする単孔式腹腔鏡手術は整容性に優れることから,良性の尿膜管疾患や膀胱の限局的な病変は本術式の最もよい適応の1つと考えられる.ここでは当科にて施行している膀胱および尿膜管疾患に対する単孔式腹腔鏡手術の適応と術式について概説する.
体腔鏡手術
  • 灰谷 崇夫, 佐野 剛視, 瀧本 啓太, 梶田 洋一郎, 七里 泰正
    2013 年 26 巻 1 号 p. 78-82
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
     【目的】単孔式腹腔鏡下副腎摘除術(Laparoendoscopic single-site adrenalectomy:LESS-A) は従来の腹腔鏡下副腎摘除術(Conventional laparoscopic adrenalectomy:CL-A)と比較して同等の安全性で,より低侵襲性や高整容性が報告されてきている.文献上multichannel single portを用いる報告が多いが,われわれは従来の腹腔鏡手術手技での施術と低コストを目的に,homemade single-port deviceと従来の硬性腹腔鏡手術器具を用いて19例のLESS-Aを経験し,そのアウトカムを14例のCL-Aと比較検討した.
     【対象と方法】対象は2010年7月から2012年2月の期間に施行した19例のLESS-A群と2008年7月から2011年2月の期間に施行した14例のCL-A群.LESS-A群19例中12例が肋骨弓下ポートで,7例が臍部ポートを用い,追加ポートを必要とした症例はなかった.両群の全例で通常の経腹膜的アプローチによるCL-A手技で行った.
     【結果】LESS-A群における患者平均年齢58.6歳,BMI 23.8 kg/m2,腫瘍径21mmで,18例が機能性皮質腺腫,1例が褐色細胞腫であった.CL-A群との比較で,患者背景因子,平均手術時間(191 vs. 194分,p=0.58)と出血量(56 vs. 90,p=0.32)に有意差を認めなかった.LESS-A群の1症例における臍部創傷治癒遅延以外の周術期合併症は発生しなかった.
  • 高山 達也, 甲斐 文丈, 杉山 貴之, 永田 仁夫, 鶴 信雄, 古瀬 洋, 伊原 博行, 栗田 豊, 麦谷 荘一, 牛山 知己, 鈴木 ...
    2013 年 26 巻 1 号 p. 83-86
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
     【目的】pT1N0M0腎癌に対する腹腔鏡下根治的腎摘除術(LRN)および同時期に施行された開放による従来の根治的腎摘除術(ORN)の長期成績を比較検討する.
     【方法】1993年3月から2012年3月までに施行した透析症例やVHL病を除くT1腎癌に対するLRN113例とORN25例について,臨床病理学的因子や手術成績をretrospectiveに検討した.
     【結果】観察期間は,0.3‒228.0カ月で,中央値および平均値はそれぞれ66.7カ月,80.7カ月.背景因子の年齢,性,BMI,術前クレアチニン/CRP/Hb/Alb,患側,症候の有無,細胞型,異型度,V因子,浸潤様式に両群で差はなかったが,腫瘍径のみはORN群で大きかった.全生存率では,LRN群が有意に良好であった.癌特異的生存率や非再発率にそれぞれ有意差はなかった.
     【結語】pT1N0M0腎癌に対するLRNの長期成績はORNに劣らなかった.
  • 井上 高光, 土谷 順彦, 成田 伸太郎, 米田 真也, 沼倉 一幸, 小原 崇, 鶴田 大, 齋藤 満, 堀川 洋平, 佐藤 滋, 羽渕 ...
    2013 年 26 巻 1 号 p. 87-92
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
     単孔式腹腔鏡手術は難易度の高さが問題点であるが,整容性改善の点でドナー腎採取術での利益は大きい.我々は通常の器具を用いかつ手術操作を容易にするため,単孔プラス1ポート腹腔鏡下ドナー腎採取術(laparoendoscopic single site plus one trocar donor nephrectomy:LEPODN)を考案し試みた.2010年~2011年に施行したLEPODN20例を対象とした.年齢,BMI,術前CCrの平均値はそれぞれ55.7歳,23.2,118.4 mg/minであった.臍高を中心とする5.5cmの傍腹直筋切開でGelPortを装着し,カメラおよび左手,補助ポートをGelPortより挿入,左肋骨弓下に右手ポート5mmを追加した.標準的腹腔鏡下ドナー腎採取術(Standard-LDN) 27例と比較し,LEPODN群の平均手術時間はStandard-LDN群に比べ有意に短かった(220 min vs 249 min, p=0.033).LEPODN群の平均出血量および温阻血時間,レシピエントの術後28日目の平均血清クレアチニン値はそれぞれ39.4ml,272秒,1.13mg/dlであり,Standard-LDN群に比べ有意差はなかった.単孔プラス1ポート腹腔鏡下ドナー腎採取術は,通常の器具のみで手術ができ,安全低侵襲で良好なグラフト機能を担保でき,かつ整容性が良好であることが示された.
  • 原林 透, 三浪 圭太, 大澤 崇宏, 大石 悠一郎, 安住 誠, 永森 聡
    2013 年 26 巻 1 号 p. 93-97
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
     侵襲度の高い膀胱全摘除術が腹腔鏡手術の導入により周術期の侵襲を低減できたか否かを検討した.
     【対象】2009/12以降腹腔鏡下膀胱全摘除術を施行した34例を対象とし,それ以前の開腹症例30例と比較検討した.尿路変向法は新膀胱19例,回腸導管13例,尿管皮膚瘻2例であった.
     【結果】34例の手術時間は345分,出血量516mLと開放手術よりも有意に少なく76%で無輸血手術が遂行できた.2例で開放移行を要した.術後飲水開始3日,食事5日,在院期間32日は開放手術に比して有意に短かった.G3以上の周術期合併症は15%にみられた.病理は,pT3≦26%,pN+18%,断端陽性9%であり,摘出リンパ節個数は22個であった.
     【結語】腹腔鏡下手術は,術後合併症発生頻度に差はなかったが,出血が少なく,飲水食事開始が早く,術後回復は良好であった.
  • 澤田 篤郎, 奥村 和弘
    2013 年 26 巻 1 号 p. 98-103
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
     近年低侵襲手術が急速に広まり,前立腺癌では腹腔鏡下・ロボット補助下前立腺全摘除術が,腎癌では腹腔鏡下腎摘除術・腎部分切除術が標準治療になりつつある.しかし膀胱癌に対する根治的膀胱全摘除術は,現在でも多くの施設で開腹手術が行われれている.これは腹腔鏡下膀胱全摘除術が難易度が高く時間がかかるうえ,確立した術式がないことなどから開腹術を選択する施設が多いものと考える.しかしこの手術は大きな皮膚切開を加えるうえ腸管を利用した尿路変更術と合わせて行われるなど,泌尿器科領域において最も侵襲性の高い手術である.従って膀胱全摘除術こそ低侵襲手術のメリットが大きいと考え,我々は2003年より腹腔鏡下膀胱全摘除術を開始し,試行錯誤のうえ一つの術式を確立するに至った.この術式を紹介するとともに我々が注意している点などについても説明する.
  • 望月 康平, 田畑 健一, 佐藤 威文, 黒坂 眞二, 石井 大輔, 西 盛宏, 前山 良太, 小林 健太郎, 頴川 晋, 馬場 志郎, 岩 ...
    2013 年 26 巻 1 号 p. 104-109
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
     我々は,限局性前立腺癌に対して2000年より腹腔鏡下前立腺全摘除術を開始し,2009年までの10年間で330例に施行した.手術時年齢は中央値65.5歳,術前PSAは中央値7.6ng/mlで,術後観察期間は中央値51か月であった.手術時間は中央値284分,出血量は中央値400mlで,開放手術への移行は4例であった.術中合併症は22例(6.7%)に生じ,直腸損傷は6例(1.8%)に認めた.切除断端陽性は114例(34.5%),5年PSA非再発率は76.7%で,多変量解析では被膜外浸潤と切除断端陽性が危険因子となった.中長期的な癌制御においては開放手術と遜色ない結果であったが,切除断端陽性率はやや高く,今後は新規術者への教育システムの確立を行いlearning curveの短縮が必要と考えた.
  • 七里 泰正, 灰谷 崇夫, 佐野 剛視, 瀧本 啓太, 梶田 洋一郎
    2013 年 26 巻 1 号 p. 110-115
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
     【目的】 腹腔鏡下前立腺全摘除術(LRP)において後壁補強(posterior reconstruction: PR)に加えてanterior suspension(AS)を追加する手技の有用性について検討した.
     【対象と方法】 2009年4月から2012年3月の期間に,当施設において施行した100例のLRPにおいて,前半50例はPRのみを(AS非施行群),後半50例はPRに加えて尿道前方stabilizationを回復させる目的でASを追加施行した(AS施行群).術後早期尿禁制率やapical %positive surgical margin(PSM)をAS施行群と非施行群とで比較した.尿禁制の定義は0パッド0リークとした.
     【結果】 術後 1,3,6ヶ月における尿禁制率は AS施行群でそれぞれ 12,34,64%,非施行群で18,42,62%,で両群間に有意差を認めなかった.Apical %PSMはAS施行群で有意に低値であった(4% vs.18%,P=0.026).両群における合併症発生率に有意差は認めなかった.
     【結語】 今回LRPにおいてPRに加えてASを追加施行することで有意な術後早期尿禁制は認められなかったが,apical PSMは有意に減少した.ASに基づく周術期有害事象の増加は認めなかった.
Endourology
  • 宇野 雅博, 加藤 成一, 増栄 孝子, 増栄 成泰, 藤本 佳則
    2013 年 26 巻 1 号 p. 116-120
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
     【目的】ドレナージを要した上部尿路結石の閉塞による腎盂腎炎(以下,結石性腎盂腎炎)治癒後の結石に対する治療として,transurethral lithotripsy(TUL)またはextracorporeal shock wave lithotripsy(ESWL) を施行した治療成績ついてretrospectiveに検討した.【対象と方法】2007年1月より2012月7月までに結石性腎盂腎炎を発症し,ドレナージを行った症例中,TULまたはESWLを施行した51症例を対象とした.有効性および患者背景を検討した.2010年8月から結石破砕装置の機種変更があった.【結果】49例に尿管ステント留置,2例に腎瘻造設した.TUL施行31症例では1例が破砕片が腎内へ移動しESWLを追加した.ESWL施行20症例では2例が破砕されずにTULに変更した.【結論】結石性腎盂腎炎後の結石の治療ではTUL,ESWLともに良好な成績であった.ESWL機種変更後の結石性腎盂腎炎治癒後の結石の治療は,尿路結石症診療ガイドラインに沿うことが可能であった.
  • 木村 元彦, 志村 尚宣
    2013 年 26 巻 1 号 p. 121-125
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
     結石性腎盂腎炎の患者にはまず抗生剤投与ならびにドレナージを行い,全身状態が回復してから結石を治療するのが原則であるが,今回一期的に緊急TULを14例に行った.収縮期血圧100mmHg以上で安定している,頻呼吸がない,DICが重度でない,結石長径が8mm以下,部位がU2かU3,これらを満たす症例を緊急TULの選択基準とした.全例,砕石および抽石から尿管ステント留置までを行うことができ,術後の全身状態の悪化は認めなかった.完全排石率は100%であった.手術時間の平均は54分,38℃以下への解熱は平均1.4日,入院日数の中央値は8日であった.症例を選べば,結石性腎盂腎炎に対しても緊急TULを安全に施行できる可能性が示された.
  • 田岡 利宜也, 水野 桂, 松岡 崇志, 北 悠希, 仲西 昌太郎, 浅井 聖史, 宗田 武, 井上 幸治, 寺井 章人
    2013 年 26 巻 1 号 p. 126-130
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
     【目的】マルチレングス尿管ステント抜去困難例を検討した.
     【対象と方法】対象は2008年4月から2010年4月に留置した尿管ステント505本で,抜去困難の有無を調査すると共に,ステント径や留置期間,留置時の腎盂側コイル形成状況との関連を検討した.
     【結果】抜去困難ステントは9本(1.78%)で,原因は結び目(2),石灰化(2),結び目と石灰化(1),不明(4)であった.9本中6本は,後日の再牽引で抜去し得たが,石灰化を有する3本はESWLやTULを要した.抜去困難例の平均留置期間は7.9週で,問題無きステント(6.2)と比べ留置期間の長い傾向が確認された(p=0.06).ステント径と抜去困難との関連は認めなかった(p=0.73).結び目形成の3本は,コイル形成がすべて不良であった(p=0.06).
     【結論】留置期間の短縮やコイルの完全形成は抜去困難回避に繋がる可能性がある.抜去困難に陥った際,ステントに石灰化が無ければ,後日の再牽引も考慮すべきと考えられた.
  • 池端 良紀, 高橋 敦, 新海 信雄, 橋本 次朗, 高木 良雄
    2013 年 26 巻 1 号 p. 131-134
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
     悪性疾患による尿管閉塞(Malignant Ureteral Obstruction:MUO)を来した場合,尿管ステント留置や腎瘻造設が考慮される.今回我々はMUO症例に尿管ステントを留置した場合,その後無効となることを予測する因子を検討した.2001年1月から2010年12月までに52例のMUO症例に尿管ステントを留置した.12例(23.1%)がステント無効となった.年齢,性別,原疾患,閉塞機転,両側水腎症の有無,血清クレアチニン値とステント無効の関連を統計学的に解析した.単変量解析では「後腹膜線維症」,「両側水腎症」,「血清クレアチニン値4mg/dl以上」が有意にステント無効と関連があり,多変量解析では「血清クレアチニン値4mg/dl以上」のみが統計学的に有意であった.MUO症例に対して尿管ステント留置を考慮する場合には,血清クレアチニン値が重要な因子であることが示唆された.
症例報告
  • Tomokazu Sazuka, Takashi Imamoto, Takanobu Utsumi, Mitsuru Yanagisawa, ...
    2013 年 26 巻 1 号 p. 135-137
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
      Angiomyolipomas (AMLs) located in the adrenal region are exceptionally rare. The preoperative diagnosis of AMLs is difficult.
      We report our experience with a 68-year-old woman who presented with right-sided back pain. A computed tomography scan showed a 66×45 mm fatty adrenal mass. Hormonal function was within normal limit. Laparoscopic adrenalectomy was performed. Because bleeding occurred from the tumor surface, we decided on an open conversion and removed the tumor together with a part of the normal adrenal gland. The histopathological features confirmed the diagnosis of AML in the adrenal region. The patient made an uneventful recovery and was discharged one week following the operation.
      When we perform laparoscopic adrenalectomy for a fatty adrenal tumor, we must handle the tumor considering the possibility of an AML. Additionally, to reduce excessive bleeding, we must use an open conversion in cases of uncontrollable bleeding.
  • 八木澤 隆史, 近藤 恒徳, 大前 憲史, 高木 敏男, 池澤 英里, 飯塚 淳平, 小林 博人, 橋本 恭伸, 石田 英樹, 田邉 一成
    2013 年 26 巻 1 号 p. 138-141
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
     症例は29歳女性.外傷後の精査にて施行された腹部CTにて後腹膜腔内に径7cmの腫瘤性病変を認めた.その後は経過観察とされていたが2年後には3cm増大していたため外科的摘除する方針となった.手術は患者の強い希望もあり腹腔鏡下で行われた.合併症なく手術は終了し,摘出標本から後腹膜神経節細胞腫と診断された.
  • Kaori Yamashita, Fumio Ito, Kazuyo Ito, Hikaru Tomoe, Hayakazu Nakazaw ...
    2013 年 26 巻 1 号 p. 142-144
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
      We report a rare case of chyluria following surgery for stomach cancer. A 75‒year‒old man underwent a partial gastrectomy with the Billroth I method and a cholecystectomy. He was referred to our department because of general fatigue, appetite loss, edema, and chyluria. His laboratory date revealed hypoalbuminemia, hyponatremia, and proteinuria. Cystoscopy showed a spout of chyluria from the left ureter orifice. We performed flexible ureteroscopy and observed a spout of chyluria from a large fistula in the left lower calyx. 2.5% hydrogen peroxide solution was injected toward the hole retrogradely, but it was ineffective. Retroperitoneoscopic left renal pedicle lymphatic disconnection was performed. The patient’s hypoalbuminemia, hyponatremia, proteinuria, and chyluria disappeared and his general fatigue, appetite loss, and edema improved postoperatively. By six months after the operation, he had had no recurrence of chyluria. Therefore, retroperitoneoscopic renal pedicle lymphatic disconnection is a useful and reliable treatment for intractable chyluria.
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