Japanese Journal of Endourology
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特集3:泌尿器疾患に対する単孔式腹腔鏡手術
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三股 浩光
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2013 年 26 巻 1 号 p. 50

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抄録

 泌尿器疾患に対する単孔式腹腔鏡手術は,2007年にRaneらが単一創からの腹腔鏡下腎摘出術を行ったのが最初で,本邦では京都府立医大の河内先生らが2008年に開始した.その後は副腎摘出術,ドナー腎採取術,腎盂形成術,腎嚢胞切除術,前立腺全摘術,尿膜管摘出術などに試みられており,近年注目されている術式である.さらに欧米ではロボット支援腹腔鏡手術にも単孔式術式が応用されつつある.
 単孔式腹腔鏡手術はひとつの切開創から行う手術で,切開部位は臍部が最も多く,その他に側腹部や下腹部,傍腹直筋部も選択されている.手術に用いるアクセス・ポートや鉗子類,リトラクターには,様々な新規デバイスが開発されており,企業からもこの術式の将来性が期待されているものと思われる.
 単孔式腹腔鏡手術は,従来の腹腔鏡手術に比べて明らかに整容性に優れている点に異論はないものの,疼痛の軽減や術後の早期回復等の低侵襲性に関しては未だ明確な結論は出ていないのが現状である.本特集では小児泌尿器疾患に関して京都府立医大の河内先生,副腎疾患を慶応義塾大の中川先生,腎腫瘍に対する後腹膜アプローチを杏林大の桶川先生,経腹膜的アプローチを広島大の井上先生,ドナー腎採取に秋田大の羽渕先生,膀胱尿膜管疾患に大分大の佐藤先生にそれぞれの術式と今後の課題について詳述して頂いた.
 本特集が,単孔式腹腔鏡手術の導入を考慮されている先生方の一助となれば幸いである.

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© 2013 日本泌尿器内視鏡学会
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