Japanese Journal of Endourology
Online ISSN : 2187-4700
Print ISSN : 2186-1889
ISSN-L : 2186-1889
特集3:泌尿器疾患に対する単孔式腹腔鏡手術
副腎疾患に対する単孔式腹腔鏡手術の検討
中川 健宮嶋 哲金子 剛宮崎 保匡服部 盛也大家 基嗣
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 26 巻 1 号 p. 54-56

詳細
抄録

 単孔式腹腔鏡手術を2009年9月から副腎,腎摘除術,根治的前立腺全摘除術と順次導入した.副腎摘除術は単孔式腹腔鏡手術がルーティンとなり,2012年3月までに66例を経験した.今回,単孔式腹腔鏡下副腎摘除術の臨床的検討を行うと同時に,従来法腹腔鏡手術(70例)との比較を行った.手術は主にSILS portを使用し,従来法に準じた経腹膜到達法の術式を行った.全体の手術時間は133.4±47.0分で従来法より26分長かった.疾患別では原発性アルドステロン症で単孔式手術が114.9±27.8分(27例),従来法87.7±29.1分(30例),同様にクッシング症候群では133.0±41.9分(6例)と100.1±30.0分(20例),褐色細胞腫151.3±58.3分(20例)と154.0±48.0分(20例)で,褐色細胞腫では全く遜色がなかった.単孔式腹腔鏡下副腎摘除術で輸血症例はなく,最大出血量200ml,81.8%で出血は測定感度以下であった.また,60.0%の症例で術後鎮痛剤は不要であり,術後入院期間は中央値5日であった.これらすべてが従来法腹腔鏡手術と同等であった.さらなるラーニングカーブの改善も期待され,明らかに優れた整容性,従来法と同様の安全性,確実性から単孔式腹腔鏡下副腎摘除術は副腎腫瘍に対する手術療法の選択肢の一つとして積極的に考慮すべきものと考えられた.

著者関連情報
© 2013 日本泌尿器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top