Japanese Journal of Endourology
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特集3:腎盂形成術
腹腔鏡下腎盂形成術:後腹膜アプローチ
河 源
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2013 年 26 巻 2 号 p. 216-221

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抄録
  我々が行っている後腹膜アプローチによる腹腔鏡下腎盂形成術の手術方法について,特に注意すべき点を加え紹介する.器具は腹腔鏡下腎摘除術に準じたものを用いるが,尿管および腎盂切開時において,刃先の方向を変えることができる剪刀を用いると切開操作が非常にやりやすい.トロカーポート位置は腹腔鏡下腎摘除術に準じ,後腹膜腔の作製も同様に行う.腎傍脂肪組織を剥離し,外側円錐筋膜を切開する.Gerota筋膜後面において剥離を進め,尿管を同定する.右側においては下大静脈の側面が自然に露出されることが多い.その後の操作や器機の出し入れにおいて下大静脈を損傷することがないよう注意する.尿管の剥離時には鉗子で尿管を直接把持するような操作は避ける.形成方法は,狭窄の距離,交差血管との位置関係等を勘案して決定する.狭窄部の中枢側から狭窄部位へと向かうような切開を加え,狭窄部を開放する.尿管の縦切開を追加(spatulate化)し,腎盂と尿管の縫合操作に移る.安全確実な縫合操作のためには,右手,左手で同等に持針器を扱えなければならない.縫合操作は吸引補助用ポートから行うと容易となる場合も多い.尿管縦切開の末梢端(谷となる部分)と,対応する腎盂側の切開線の端をまず結節縫合する.この部の正確な縫合が本術式における最重要ポイントと考える.尿管の末梢端と腎盂との結節吻合が完了したら,その横から新たに連続縫合を加え,適当なところでダブルピッグテイルカテーテルを留置する.縫合完了後充分な洗浄を行い,気腹圧をやや下げて出血や吻合部からの尿流出がないことを確認,ドレンチューブを挿入し手術を終える.
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© 2013 日本泌尿器内視鏡学会
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