Japanese Journal of Endourology
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特集1:尿膜管遺残症に対する腹腔鏡手術─術式とその問題点
後腹膜到達法による単孔式腹腔鏡下逆行性尿膜管摘除術
石井 啓一西原 千香子坂本 亘
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2017 年 30 巻 2 号 p. 128-133

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抄録

 近年, 腹腔鏡手術の新たな動向として, 臓器摘出に最小限必要な単一創から行う単孔式腹腔鏡手術が注目され, その有用性が示唆されている. 尿膜管遺残症に対する腹腔鏡下手術は本邦にて2014年に保険収載され, その後, 経腹アプローチでの, 臍のみの創部での単孔式腹腔鏡手術の報告が増えた. 整容性に優れているなどの有用性が示されている. 我々が今回経験した後腹膜到達法での単孔式腹腔鏡手術では, レチウス腔を展開し, 膀胱頂部の処理を先行させ, それを逆行性に頭側方向に剥離, 最後に臍周囲を剥離して膀胱頂部から臍までの尿膜管を一塊に摘除する. 感染を伴うことが多い疾患であるので, 感染巣のコントロールという意味で, 腹膜を温存できるのでより有利と考える. 小児3例, 成人6例, 計9例を経験し安全に, かつ出血少なく短期間の入院であった. 当稿では当科で用いた手術器材, 具体的な手技, 同疾患に対する我々の考え方を含め詳細に示した. 我々が調べた限りでは, 尿膜管遺残症に対する同術式の報告は初めてのものである. 問題点としては手術時間がやや長くなることで, 今後工夫を重ね, 症例の蓄積によって本術式が改良されていくことが期待される.

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© 2017 日本泌尿器内視鏡学会
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