2017 年 30 巻 2 号 p. 151-154
小児期における上部尿路結石症は成人に比し頻度が低いが増加傾向にあり, 疾患の背景や体格の違いなどの症例ごとの個人差が大きく, 治療の制約がある. 近年, 細径で解像力に優れた軟性尿管鏡の普及に伴い, 我々は硬性鏡と使い分けてTULを施行している.
当院では, 男児12例, 女児7例 (年齢中央値8歳), 計31回の手術を行った. 下部尿管結石に対しては硬性鏡を用いることが多く, 先端が4.5Frの小児膀胱鏡か6Frの細尿管鏡にて, Ho-YAGレーザーで砕石する. 上部尿管結石や腎結石に対してはまず硬性鏡を用いるが, 必要あれば尿管アクセスシースで尿管拡張後に軟性尿管鏡を用いる. 結石に到達できれば砕石は良好である. ただしシースが挿入できないことがあるため, その際はpre-stentingとしてDouble-J (D-J) カテーテルを留置する.
f-TULでは, 尿管アクセスシースで内径10Frまで拡張できれば, 軟性ファイバースコープを使用できるが, 内径11Frまで拡張できれば画像がより良いデジタルスコープを使用できる. 尿管アクセスシースは数社のものが発売されており, 外套と内筒の段差が小さく先端が軟ものが使いやすい. ガイドワイヤーは細径のものが必須で, コシがあるが先端は軟性のものが安全で有用である. 再発の面からは残石を残さないよう破砕片採取に努める. 砕石不十分の場合は, 手術が長時間になりすぎないよう, D-Jカテーテルを留置し, 期間をあけて再手術する方が良いことがある.
小児の特性, 症例の特徴をよく考慮して行うことが大切で, 必要があれば他の治療も柔軟に取り入れるべきであろう. また今後は放射線被ばくの軽減化をより留意していきたい.