Japanese Journal of Endourology
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特集2:小児腹腔内精巣─どう扱うか?
腹腔内精巣に対する腹腔鏡下二期的Fowler-Stephens法
高橋 正幸金山 博臣
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2018 年 31 巻 1 号 p. 51-54

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抄録

 腹腔内精巣に対する術式は, 精巣血管や精管の長さ, 精管のループ状構造の有無, 年齢などに依存すると言われている. しかし, 腹腔内の精巣位置や精巣血管・精管の長さは様々であり, 実際に精巣血管を切断するべきかあるいは切断せずに精巣固定術が施行できるか, 一期的あるいは二期的に手術を行うべきかの術式を決定する際には判断に迷うことがある. 一期的な手術が可能と判断して腹膜を切開し, 精巣血管を十分に剥離した後に, 結局精巣を陰嚢まで下降させることが困難な場合も想定されるため, 術式の決定が難しい場合には, Fowler-Stephens法は選択すべき術式の一つである.

 Fowler-Stephens法には一期的手術と二期的手術があるが, 一期的手術と二期的手術を比較したランダム化試験はなく, systematic reviewにおいて, 成功率は二期的手術の方が良いことが示されている (85% vs 80%). 合併症に関しては, 一期的手術では合併症が報告されていないが, 二期的手術においてイレウス, 血腫, 感染が報告されている.

 腹腔内精巣に対し術式の判断に迷う場合に, 当院のような腹腔内精巣固定術の経験の少ない施設においては, 二期的Fowler-Stephens法は, 安全でその治療成績からも考慮すべき術式の一つである.

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© 2018 日本泌尿器内視鏡学会
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