Japanese Journal of Endourology
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特集1:上部尿路結石に対する治療のタイミングと術式選択
腎盂腎炎合併症例におけるストラテジー
柿木 寛明野口 満
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2018 年 31 巻 2 号 p. 163-167

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抄録

 上部尿路結石による閉塞性腎盂腎炎は, ときに敗血症ショックから多臓器不全を惹起し, 重篤な経過をたどることがある重要な泌尿器救急疾患のひとつである. しかし, ドレナージの適応や尿管ステントもしくは腎瘻のいずれの手段を選択するかについては担当する医師や施設によって異なるのが現状である. Performance status不良, 高齢, 女性, 血小板低値, 血清アルブミン低値, 血液培養陽性, CRP高値は腎盂腎炎の重症化との関連が報告されている. 腎瘻はドレナージの術中や術後早期に重篤な合併症の報告があり, 当科では原則的に尿管ステントを第一選択としているが, 回腸導管, impaction, 長期臥床, 重度の膿腎症, 結石が大きいといった要因がある症例では腎瘻によりドレナージを行った. 腎瘻でドレナージした症例では結石をPNLや順行性尿管鏡で治療する傾向があった. 特に結石が15mmを超える場合やサンゴ状結石を伴う場合は, 腎瘻でドレナージしておくと結石を効率的に治療できる. 尿管ステントでドレナージした場合は, 腎盂腎炎の再燃やencrustationによりステント抜去が困難となるリスクがあり, 状態安定後は速やかな結石治療介入が望ましい.

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© 2018 日本泌尿器内視鏡学会
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