【目的】当院で施行した腹腔鏡下副腎摘除術について良性腫瘍, 悪性腫瘍の臨床的事項の比較を行った.
【対象】2003年8月から2015年6月に施行した149例を対象とした. 良性は原発性アルドステロン症65例, Cushing症候群33例, 褐色細胞腫21例, その他14例の全133例, 悪性は転移性腫瘍14例, 副腎皮質癌2例の全16例であった.
【結果】腫瘍径は悪性で有意に大きかったが, 出血量, 手術時間, 術後在院日数に差は認めなかった. 合併症は良性で出血や他臓器損傷等全10例で認めたが, 悪性では認めなかった. いずれも開腹手術への移行例や死亡例は無かった. また悪性腫瘍で観察期間中に腹膜播種, 局所再発, ポートサイト再発をいずれも認めなかった.
【結語】悪性腫瘍に対して腹腔鏡下副腎摘除術を安全に施行可能であった. 今回の検討では腹膜播種や局所再発を認めなかった.