Japanese Journal of Endourology
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特集2:RAPN困難症例への注意点
完全埋没型
高木 敏男
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2021 年 34 巻 2 号 p. 201-204

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抄録

 完全埋没型腫瘍は腎表面から腫瘍が同定できないことから切除の際, 非常にストレスがかかる. 完全埋没型腫瘍を切除するにあたり, 以下の点に注意している.

①術前に体表超音波で腫瘍が同定できるか確認する.

②術前3DCTにて切除シミュレーションを行う.

③体腔内超音波にて切除予定ラインをマーキングする際, 腫瘍辺縁よりやや大きめに切除ラインを設定する.

④切除の際は逆円錐状に切除を進める. 徐々に腫瘍に近づいていくイメージである.

⑤腎表面の正常腎実質を把持牽引し, 腫瘍切除面を明らかにする. 切除部位に緊張をかけることで, 静脈性出血を抑えることができる.

⑥鈍的, 鋭的切除をしながら, 血管は丁寧に止血する.

⑦腫瘍底部では腫瘍被膜に沿って剥離を行い, collecting systemの損傷に気をつける. 切除断端陽性になり易い部位であることを意識した切除を行う.

⑧腎洞や腎杯が解放した場合は, 選択的に縫合閉鎖する (inner suture). 不必要に深く縫合すると, 動脈性出血をマスクしてしまうことが有り, 注意が必要.

⑨腎動脈を解放して, 動脈性出血の無いことを確認する.

 また, 助手の吸引・視野確保の為の牽引が非常に助けになる. 周到な手術準備, 良好な視野の確保, 丁寧な腫瘍切除, 十分な止血確認を行うことで, 断端陰性を担保しながら, 合併症無く, 良好な腎機能温存を達成することができる.

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© 2021 日本泌尿器内視鏡学会
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