Japanese Journal of Endourology
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特集2:RAPN困難症例への注意点
腎門部腫瘍へのRAPN
日向 信之藤澤 正人
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2021 年 34 巻 2 号 p. 205-210

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抄録

 ロボット支援技術が腎部分切除術に応用されて以降, 腹腔鏡下手術に認められた技術的な困難をロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術 (RAPN) が乗り越えうる可能性が指摘されている. しかしながら腎門部腫瘍, 完全埋没型腫瘍, 大径腫瘍などの高難度腫瘍に対してはRAPNは未だ普及段階にあり根治的腎摘除術が適応されることも多い. 高難度腫瘍のうち腎門部腫瘍は主要な腎血管に近接するため術中術後の出血リスクが高く, また腫瘍が尿路に近接しやすく, 切除後に皮質縫合を行うための腎実質を欠くことから, 術後の尿溢流や仮性動脈瘤の発生リスクも高い. 腎門部腫瘍に対するRAPNの有用性は理論的には期待できるものの, そのことを示すエビデンスは殆どなく, 本邦では腎門部腫瘍に対するRAPNの有効性を評価するために阻血時間と断端陽性の有無を主要評価項目とし, LPNのヒストリカルコントロールと比較する多施設共同臨床試験が実施された. 主要評価項目の結果は, 温阻血時間の平均値は20.2分, 断端陽性率は1.9%と事前に設定した有効性判断基準を大幅に上回り, 腎門部腫瘍に対するRAPNの有効性が示された. 今後も不要な腎摘除術により患者が低侵襲な腎温存手術を受ける機会を喪失しないよう高難度腫瘍に対するエビデンスの確立が求められる.

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© 2021 日本泌尿器内視鏡学会
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