Japanese Journal of Endourology
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特集4:これから始めるロボット支援下腎盂形成術
ロボット支援下腎盂形成術 ―小児例のテクニカルポイント―
水野 健太郎西尾 英紀林 祐太郎黒川 覚史中根 明宏丸山 哲史戸澤 啓一安井 孝周
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2021 年 34 巻 2 号 p. 246-251

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抄録

 私たちは2012年12月から医師主導の臨床研究としてロボット腎盂形成術に取り組んでおり, 小児症例に対して良好な治療成績を報告してきた. 腎盂形成術は, 文字通り「形成手術」であり, 治療のゴールは, 分腎機能の維持・自覚症状の改善・通過障害の改善といった“trifecta”を達成することにある. そのためには, (1) 形成による腎盂尿管の立体的な構造を把握すること, (2) 交差血管など周囲と尿路との位置関係を正確に認識すること, (3) 体腔内でwater-tight, tension-freeな縫合操作を適切に行うこと, が重要であり, 複数の術式に対応できる必要がある.

 小児は成人と比べ, 体表面積が小さく, 腹壁が薄く弾力性が高い. そのためトロカー間の距離を狭くせざるを得ず, 術中のアーム干渉を回避するため配置にも工夫が必要となる. また体腔内スペースが小さいため, 安全にロボット手術を行う上で不用意なアーム操作を避けることも重要である. 術中の体位固定には緩衝材を多用し, アームと患児との干渉を未然に防ぐ必要がある. 現時点で私たちは経腹的アプローチで行っているが, 腹腔内脂肪の少ない小児では経腸間膜アプローチによって腎盂尿管移行部へ容易に到達することができる. 一次治療としてロボット腎盂形成術はすでに高い成功率が報告されているが, 近年, 初期治療がうまくいかなかった症例に対する二次治療としてロボット手術の有用性が報告されている. ロボット腎盂形成術のtrifectaを達成するには, 小児例におけるテクニカルポイントを把握し, 治療の成否に影響する要因を一つずつ確実にクリアしていく必要がある.

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© 2021 日本泌尿器内視鏡学会
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