Japanese Journal of Endourology
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特集4:これから始めるロボット支援下腎盂形成術
術後評価と予後
西 盛宏山崎 雄一郎石井 大輔岩村 正嗣
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2021 年 34 巻 2 号 p. 252-255

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抄録

 開腹腎盂形成術に代わる低侵襲代替療法として1991年にSheslarらによって報告された腹腔鏡下腎盂形成術は開腹手術に比べ術後疼痛の軽減, それに伴う入院期間の短縮, さらには優れた整容性が得られる一方で体腔内縫合結紮の難易度の高さ, それによる長い学習曲線などの問題点が指摘されている. 2002年これらの欠点を補うべくロボット支援下腎盂形成術がGettmanらによって始めて報告された. 本邦においても2020年4月より保険適応となり, 今後多くの施設での施行が予想される.

 腹腔鏡下手術と同様にカメラで術野を確認しながら左右鉗子で手術操作を行うが, 3次元視野下での手振れ防止, モーションスケールを有する鉗子を用いた正確な手術操作はロボット支援下手術でなければ達成できないものである.

 術後評価方法は腹腔鏡下腎盂形成術と全く同じである. 具体的には症状のある症例に対しては症状の改善・消失, その他症状の有無に関係なく腎形態の改善をエコー検査, 腎機能の維持・改善を核医学検査で行う. 手術成功の定義は様々だが, 短期の手術成功率は腹腔鏡下手術と同等であり, 術後入院期間や合併症発生率も腹腔鏡下手術同様低いと報告されている. また長期治療成績の報告は少ないが, 術後8年間での手術成功率が96.3%だったとする報告もあり, こちらも腹腔鏡下手術同様, 長期的にも有用な治療法と考えられる. 一方, 体格の小さな乳幼児に対するロボット支援下手術は体腔内・体腔外の作業空間が小さいことなどから手術件数はいまだ低い. 代表的な先天性疾患であることからも体格の小さな乳幼児への適応が現状の問題点であろう.

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© 2021 日本泌尿器内視鏡学会
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