2025 年 5 巻 1 号 p. 35-40
【背景】高齢化の進行により,病院前医療の現場で活動する救急救命士に求められるスキルは変化しており,養成課程での臨床実習が重要視されている。【目的】救急救命士養成課程学生を対象に,臨床実習が蘇生処置の継続や中止にかかわるノンテクニカルスキルの習得に与える影響を調査した。【方法】蘇生の意思決定と患者の死亡後の管理に対する学生の心構えを測るためのアンケート調査を実施し,臨床実習中に傷病者の死を経験した群と非経験群で比較した。【結果】ノンテクニカルスキルにおいて,経験群は非経験群と比較して,同僚へのサポートに関する自己評価が高く,傷病者家族や遺族との話し合いに関する自己評価が低かった。【考察】臨床実習におけるノンテクニカルスキル向上には,経験だけでなく,追加の訓練や心理的サポートの必要性が示唆された。【結語】救急救命士養成課程学生が臨床実習で経験する傷病者の死は,蘇生処置の継続や中止にかかわるノンテクニカルスキルに一部影響した。