日本臨床救急医学会雑誌
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原著
来院時心静止患者における不可逆性
―動脈血中乳酸値と心拍再開との関係―
黒木 雄一池田 寿昭池田 一美向島 健横山 智仁吉川 和幸
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2007 年 10 巻 4 号 p. 393-396

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抄録

目的:来院時心静止患者の動脈血乳酸値が,その不可逆性を反映するかどうかを検討する。対象と方法:当救命救急センターヘ搬送された来院時心肺停止患者で,連続した60例のうち,無脈性電気活動17例を除外した心静止43例を対象とした。自己心拍再開群(R群)5例と自己心拍非再開群(NR群)38例について,背景因子,動脈血乳酸値を比較検討した。結果:年齢,性別, 目撃者の有無,バイスタンダーの有無,覚知・病着時間,体温,pH,血清カリウム値は両群で有意差を認めなかった。それに対し,乳酸値は両群で有意差を認めた(R群97±12mg/dl vs NR群127±48mg/dl,p=0.004)。さらに,乳酸値≧117mg/dlは感度60%,特異度100%で自己心拍非再開を判別した。結語:動脈血中乳酸値は来院時心静止患者の不可逆性を反映した。

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© 2007 日本臨床救急医学会
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