2007 年 10 巻 4 号 p. 426-431
5例のワーファリン内服中の脳出血患者に血液凝固第Ⅸ因子複合体500単位とビタミンK 20mgの投与を行った。すべての症例に緊急開頭血腫除去術を行ったが,手術中の止血には特に難渋することがなく,術後出血も認めなかった。投与後15分で再度測定したPT-INRはいずれの症例でも著明に短縮していたが,PT-INRが5.0以上の1症例では投与後も1.5以下にはならなかった。ワーファリン内服中の脳出血患者に血液凝固第Ⅸ因子複合体を投与することは迅速な凝固コントロールのために有用であり,安全な手術施行が可能になると考えられた。血液凝固第Ⅸ因子複合体の至適投与量についてはさらなる検討が必要であると思われた。