日本臨床救急医学会雑誌
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症例報告
乳幼児突発性危急事態(apparent life-threatening event:ALTE)の2症例
福原 信一今井 憲塚原 紘平木村 健秀清水 順也古城 真秀子古山 輝久金谷 誠久白神 浩史久保 俊英
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2007 年 10 巻 4 号 p. 459-464

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抄録

乳幼児突発性危急事態(apparent life‐threatening event:ALTE)は,健常な乳児が突然,死亡するのではないか, と思わせるような病状を呈するため救急外来を受診することも多い。頻度は決して低くないことに加え,ALTEの病状で受診した患者の約半数に原因疾患があり,中には後に重篤な病状を来たす疾患も含まれる。当院で経験したALTEの2症例を基に検討を加えた。症例1は無呼吸発作を主訴に当院へ救急搬送された。病院着時に循環不全を認め,等張液の補液などを行い軽快した。症例2も無呼吸発作を主訴に当院を直接受診した。病院着時は笑顔で身体所見に異常を認めなかった。2例とも精査を行ったが,原因疾患を特定できなかった。家族に一次救命処置(以下BLS)を指導した後に退院し,2症例とも経過は良好であった。現時点では医療従事者のALTEに対する認識は高くなく,小児救急医療に関わるすべての医療従事者がALTEを認識することが望まれる。

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© 2007 日本臨床救急医学会
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