2007 年 10 巻 5 号 p. 529-533
今回,われわれは75,000人による野外コンサートでの救急救護を経験したので報告する。平成16年8月21日,午後9時から翌朝7時まで長渕剛オールナイトコンサートが桜島にて開催された。鹿児島市医師会は会員の医療機関を中心に救護班を結成,救護活動を行った。会場は乾燥しており,真夏時のため天気次第では熱中症,脱水症が危惧された。われわれは医師28名,看護師58名を中心に総勢196名のメンバーで救急救護に対応した。救護所は一次救護所を会場内に4ヶ所,取付け道路に2ヶ所,さらに二次救護所を町立体育館に設置した。一次救護所は切傷,擦過傷などの軽症なものを中心に処置を行った。二次救護所は熱中症,脱水症など点滴処置の必要なものを収容した。さらに病院での処置が必要な傷病者は,市消防局の救急車で5医療機関へ速やかに搬送した。傷病者は第一救護所で903人,第二救護所で121人の計1,024人であった。救急車で搬送した患者は14名であった。疾患別では創傷・擦過傷が最も多く278名,以下頭痛138名,嘔吐・下痢症が105名,熱中症,脱水症は58名であった。また救急車搬送の内訳は熱中症4名,痙攣4名,脱水症4名,狭心症1名であった。