日本臨床救急医学会雑誌
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症例・事例報告
防水スプレー吸入とその後の喫煙により発症したと考えられた急性肺障害の一例
一身近な家庭用品のpit fall一
伊藤 朝子武田 聡片山 晃平沼 浩一卯津羅 雅彦大槻 穣治小川 武希
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2007 年 10 巻 5 号 p. 534-538

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抄録

症例は51歳,男性。室内でフッ素樹脂含有防水スプレー噴霧後に喫煙した。その直後より強い咳嗽・鼻閉・呼吸困難等の症状が出現したため救急外来受診し,同日救急入院となった。検査データ上は炎症所見の上昇を,画像上は間質影と思われるすりガラス様陰影を認めた。酸素投与・安静にて自・他覚所見ともに改善し,第7病日に退院となった。本症例は, フッ素樹脂含有防水スプレーとその後の喫煙により,急性肺障害をきたした一例と考えられる。シリコン樹脂含有防水スプレーを同様の条件下で使用した際には生じなかった肺障害が初めて生じたことより,フッ素樹脂と,喫煙によって生じたその熱分解産物が,今回の急性肺障害の原因であった可能性が考えられた。身近な家庭用品として使用されている防水スプレーだが,成分内容・使用環境には十分な注意が必要である。

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© 2007 日本臨床救急医学会
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