日本臨床救急医学会雑誌
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症例報告
重度の溶血を認めた多発性ガス産生肝膿瘍の1症例
温井 めぐみ吉田 健史林下 浩士吉本 昭松浦 康司宮市 功典韓 正訓鍛冶 有登裵 英洙井上 健
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2007 年 10 巻 6 号 p. 598-602

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抄録

今回われわれは,重度の溶血を認め急激な経過で死亡したClostridium perfringens(以下C. perfringensと略す)感染症の1剖検症例を経験した。症例は72歳,男性。前立腺癌の既往あり。発熱および腰痛を主訴に近医受診。腹部CT上多発性ガス産生肝膿瘍を認め,当センター搬送となった。来院時,バイタルサインに異常を認めなかった。しかし血液検査時に重度の溶血を認め,その後も溶血は進行した。多発性ガス産生肝膿瘍および敗血症に伴う重度の溶血と診断し,抗菌剤投与,輸血および持続血液透析を施行したが溶血は持続し,当センター搬送から約6時間で死亡した。剖検では肝内に直径5mm程度の組織の脱落が散在しており,後日血液培養からC. perfringensが検出された。敗血症において重度の溶血を伴う症例では,C. perfringens感染症を疑い,早期の抗菌剤投与をはじめ積極的な全身管理を行うことが必要であると考えられた。

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© 2007 日本臨床救急医学会
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