2008 年 11 巻 1 号 p. 21-25
59歳男性。以前より糖尿病,不安定狭心症のため他院外来通院中で,PTCAを2回受けている。6日前から発熱,倦怠感あり。当日,胸痛と呼吸困難出現し,心筋梗塞を疑われ当院内科ヘ入院したところ,胸部X線写真上,左緊張性気胸があり,当院救急部へ紹介された。左胸腔ドレナージを施行すると,便臭のするガスの噴出とともに,灰褐色の膿が多量に吸引された。膿よりCorynebacterium属菌,Peptostreptococcus属菌が検出された。ガス産生菌による膿胸の診断で集中治療を開始した。第2病日より腎機能が急速に悪化。CHDFを施行し,腎機能は改善。嫌気性菌感染による膿胸・敗血症を考え,抗生剤を多剤併用し,感染をコントロールした。全身状態安定し,第49病日に退院となった。緊張性気胸を併発したガス産生菌による膿胸の症例はまれであり,文献的考察と併せ報告した。