日本臨床救急医学会雑誌
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症例報告
肺炎球菌による敗血症に伴い電撃性紫斑病を呈した一症例
佐々木 庸郎山口 和将石田 順朗小島 直樹古谷 良輔稲川 博司岡田 保誠
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2008 年 11 巻 3 号 p. 309-314

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抄録

HCVキャリア,高血圧の既往のある50歳男性が上気道炎症状で発症し,敗血症性ショックとなり当院へ搬送された。来院時,すでに敗血症に伴う循環不全,播種性血管内凝固(disseminated intravascular coagulation,以下DIC),肝機能障害,急性腎不全など多臓器不全を来しており,人工呼吸器管理,抗DIC療法,持続的血液濾過透析などの集中治療を必要とした。血液培養より肺炎球菌が検出され,これによる敗血症と考えられた。来院時より四肢末梢,外鼻,耳介などに紫斑を呈しており,末梢循環は不良であった。経過中にこれらの部位が壊死を来し,電撃性紫斑病の合併と考えられた。Waterhouse-Friderichsen症候群,血球貪食症候群などを合併し,長期の集中治療を必要としたが, リハビリテーションを進める段階まで回復した。四肢の壊疸は,当初の予想より縮小して境界画定し,乾性壊疸であったため切断を急ぐ必要がなかった。しかし,結局小脳出血性梗塞を合併し,脳ヘルニアとなり死亡した。

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© 2008 日本臨床救急医学会
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