2008 年 11 巻 4 号 p. 361-368
救急医療は近年充実しているが,重症救急患者においては救急医療が完了した時点でも運動・精神機能障害が残存している症例が増加している。救命救急医療の場面から積極的にかかわっているリハビリテーション科専門医の立場から,救急医療と介護福祉医療の連携とその問題について検討したので報告する。急性期におけるリハビリテーションは早期離床,日常生活動作能力の向上に有効であり,二次的廃用予防にも有効であると考えられた。退院先についてはとくに重症例ではリハビリテーション施設の充実した病院への転院が多い傾向がみられ,退院時における運動・精神機能評価が重要であると考えられた。福祉介護施設との連携に関する問題点については,医療者側に福祉施設利用に関する知識が乏しいこと,ケアマネージャーや介護担当者に運動・精神機能に関する知識が不十分なために,医学的知識に基づいた個別対応が不足していることが挙げられた。