2008 年 11 巻 5 号 p. 421-427
過去1年間に京都南病院救急部に救急搬入された救急症例を用いて,救急症例の初療時の血糖値について分析評価を行った。概略的な重症度分類を用いても重症化するほど血糖値は上昇している傾向があり,糖尿病の有無にて区分して評価すると,糖尿病を基礎疾患にもつ救急症例のほうが,血糖値は上昇していた。重症症例においての血糖値の上昇は,糖尿病因子よりも重症度因子がより関与していた。血糖値200mg/dlの指標と糖尿病の有無とで,重症度との関連を評価すると,初療時血糖値が200mg/dl以上で糖尿病がある場合は非重症例が多く,糖尿病がない場合は重症例と非重症例とがほぼ同等で,初療時血糖値が200mg/dl未満では非重症例が多いが,糖尿病がある場合は転帰が不良であった。