われわれは侵襲的処置をデータベース化することにより合併症の種類,頻度などを分析し結果を公表してきた。今回は,このような情報公開,危険因子の認識が,処置の内容や合併症の頻度などに与える影響について検討した。対象はデータベース化および情報公開を行った期間の中心静脈穿刺を対象とし,分析結果を公表した節目で対象を二期に分け比較検討した。その結果,合併症全体の発生率は前期(2000.1~2001.8)1,108回と後期(2002.1~2003.8)661回とでは有意な差(前期12.1%,後期11.3%)を認めないが,気胸の合併率については後期で有意に低値となった(前期2.4%,後期1.1%,p<0.05)。後期では危険因子の認知からエラーを避ける工夫がなされ,データ登録と情報の入手が侵襲的処置における合併症の低下につながっていたと考えられた。医療安全の面からも侵襲的処置などについては登録制度を設け,情報を公開することが重要と思われた。
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