日本臨床救急医学会雑誌
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原著
多発外傷に合併した大腿骨骨幹部骨折に対する即時髄内釘の適応と回避基準
松林 嘉孝石井 桂輔北見 聡史藤原 智洋濱邊 祐一
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2009 年 12 巻 3 号 p. 317-322

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抄録

多発外傷における大腿骨骨幹部骨折に対する即時(受傷後24時間以内)髄内釘固定の是非については確立した基準はない。即時髄内釘固定とDamage control orthopedic surgeryの優劣を示すエビデンスもなく,治療の選択に迷う場合がある。多発外傷に合併した大腿骨骨幹部骨折を文献的に検討し,当科の治療基準を作成した。当科における即時髄内釘固定回避基準を以下に示す(1項目でも該当すれば回避する)。①低体温(深部温<35℃),②凝固異常(PT-INR>1.5,Plt<50,000/μl),③acidosis(pH<7.2),④呼吸不安定(P/F ratio<250),⑤循環動態不安定(non/transient responder,Shock),⑥緊急処置・手術を必要とする可能性がある胸腹部・頭部臓器損傷(処置・手術後は除く),⑦手術時間が6時間以上と見込まれる,①Gustilo-Anderson type ⅢBおよび血管損傷を伴うもの。さらに,作成した基準を用いて,過去4年間に当科に搬送された症例をretrospectiveに検討した結果,基準からはずれた治療を行っていた症例は少なく,おおむね妥当な基準と考えられた。

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© 2009 日本臨床救急医学会
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