日本臨床救急医学会雑誌
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調査・報告
電子カルテシステムを利用した救急医療の質的評価
―4医療機関の調査結果から―
熊田 恵介豊田 泉小倉 真治永田 二郎福田 充宏
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2009 年 12 巻 3 号 p. 323-328

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抄録

電子カルテシステムが情報システムとして有効に利用されているかについて調査した。その結果,データ抽出が困難な施設があること,あらかじめ必要とされる項目を明記し入力しない限り検索ならびにデータ出力は現時点では不可能であること,抽出されたデータは必ずしも正確とはいえず検証作業が必要とされること,新たな検索項目が必要となった場合,事後での対応は非常に困難であることなど,データ収集・分析を継続して行う組織構築の必要が課題として挙げられた。今後は医療者の負担軽減,相互引用性,医療安全,教育につながる情報システムが必要とされ,人的資源の投資,データの検証作業と現場へのフィードバック体制,必要なソフト開発などが求められる。確実で安全かつ質の高い医療とは何かを見据え,電子カルテシステムの有効活用に取り組む必要がある。

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© 2009 日本臨床救急医学会
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