日本臨床救急医学会雑誌
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調査・報告
高齢者の多い救護施設での心停止時の対応の準備,盲目的高度救命処置回避に関する施設職員の意識
森脇 義弘田原 良雄加藤 真豊田 洋小菅 宇之鈴木 範行杉山 淳
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2009 年 12 巻 6 号 p. 564-572

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抄録

背景と目的:高齢者生活施設入居者の心肺停止(CPA)時の施設内看取り(施設内で死亡に立ち会うか,救急要請を行わず医師到着を待ち施設内で死亡確認)の可能性を考案する。方法:1)救護施設内での看取りを受容できるか,CPAに備えた本人の意思確認に施設職員が携われるかを調査,2)死が予想される症例にCPA時用の意思確認が可能かを検討した。結果:1)入居者本人の意思は聞いておくべきだが,反復してまでは聞くべきでないとの回答が目立った。自然な死,施設内での死を希望していた入居者がCPAで発見された場合,自然に看取ってあげたいか積極的治療をしてあげたいかでは半々,入居者が死亡するふさわしい場所は施設と思われていた。2)5年間で本人用10通,家族用4通を作成するにとどまった。全例が自然に看取られたい,70%が徐々に衰弱した場合施設で看取られたいと回答した。結論:入居者のCPA時に備えた意思確認は対象を選定すれば可能だが,全例に機械的に行うのは時期尚早と考えられた。

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© 2009 日本臨床救急医学会
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