2009 年 12 巻 6 号 p. 573-576
症例は63歳男性で,喉の違和感を自覚,約24時間後に呼吸困難を訴え徒歩で近医を受診し,待合室にて心肺停止となった。気道確保ができず,バッグバルブマスクを用いて蘇生を行いながら当院に搬入。喉頭展開にて著しく腫大した喉頭蓋により声門を直接観察できなかった。挿管に成功し,心停止から約45分後に自己心拍の再開に至ったものの翌日に亡くなられ剖検を行った。その結果,喉頭蓋嚢胞を認め,嚢胞の導管と思われる部位に細菌塊を伴う塞栓物と,膿瘍の形成と嚢胞壁の破壊がみられた。この炎症が喉頭蓋舌側へ急激に波及し,気道狭窄・閉塞に至ったと推察された。