日本臨床救急医学会雑誌
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原著
ER型中核病院への搬送前に他院で救急車受け入れ拒否(たらい回し)された症例の検討
伊藤 敏孝武居 哲洋藤澤 美智子
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2010 年 13 巻 1 号 p. 1-7

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抄録

目的:当院は都市部でER型救急を採用する中核病院である。当院搬送前に他院で多数回受け入れ拒否された症例の病院側と症例側の背景を検討した。方法:6ヶ月間に救急隊が記載した搬送記録と調査票をもとに集計した。調査内容は救急隊の各種活動時間とかかりつけ医療機関の有無,かかりつけ医療機関への連絡の有無,当院への搬送依頼前の受け入れ拒否病院の有無と施設数,受け入れ拒否病院名と理由である。結果:当該期間の救急車は5,152台,救急隊調査票は4,059例,そのうち当院搬送前に1医療機関以上の受け入れ拒否は854例であった。当院直接搬送症例の救急隊全活動時間は平均30分,10医療機関以上の受け入れ拒否では88分であった。受け入れ拒否理由は多忙,満床,専門外が上位を占めた。5医療機関以上の受け入れ拒否症例の背景は高齢者,精神疾患をもつ症例,アルコール関連症例が上位を占めた。結語:現在の救急医療体制を再考し,地域の実態にあった体制を再構築する必要があると考える。

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© 2010 日本臨床救急医学会
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