日本臨床救急医学会雑誌
Online ISSN : 2187-9001
Print ISSN : 1345-0581
ISSN-L : 1345-0581
調査・報告
二次救急病院における救急症例の出口問題
―早期転院の工夫―
八坂 剛一榎本 真也柏浦 正広坪井 謙藤原 俊文
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 13 巻 3 号 p. 369-374

詳細
抄録

高齢化,疾病増加に伴い入院適応の救急患者は増加しており,二次救急病院でも出日問題は,救急医療需要に応えるための重要課題である。当院救急部は,開設当初より,限られた病床数で集中治療を除く時間外緊急入院患者に対応してきた。入院病床を確保するために,以下の方策をとっている。①患者搬送・入院時にあらかじめ転院となる可能性があることを患者に承知いただく。②毎日2回のカンファレンスを行い,各診療科と協議し治療方針を決定する。③他院でも対応可能症例では,患者・家族と相談し医師同士の情報交換で積極的に紹介転院している。2008年は入院患者2,087人,転院率18.6%,転院患者の病棟滞在日数平均2.9日と早期転院を実現して,救急車の受け入れ増加につながっている。医療機関ごとの医療スタッフ,救急病床確保の困難な今日,地域に救急後方病床を求めることは,出口問題の1つの解決策と考える。

著者関連情報
© 2010 日本臨床救急医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top