2010 年 13 巻 3 号 p. 361-368
目的:脳梗塞の決定的な治療であるrt-PAが2005年10月より保険適応になり,脳卒中初期対応の重要性が認識されるようになった。脳卒中初期診療(ISLS)および脳卒中病院前救護(PSLS)コースが開発され,全国的に学会併設で開催されている。しかし,地域医療の向上が目的でもあるので,地域での定期開催が理想である。地方ではコース開催が限られており, しかもスタッフ不足などの問題もある。その解決策の1つとして,ISLSとPSLSを組み合わせたハイブリッドコースとして開催する方法がある。われわれは「すべての医療従事者が同じ目線で脳卒中初期対応を学ぶ」を目標として,地方レベルで地域連携型のISLS/PSLSハイブリッドコースを開催し検討したので報告する。方法:基本的に半日4時間のコースの設定で「意識障害の評価」,「脳卒中スケール」,「呼吸・循環管理」,「症例検討(提示)」の4ブースに分かれて施行。受講生の職種に合わせ到達度を設定しスキルを行った。コース後にアンケート調査を行い検討した。結果:アンケートで受講生215名から回答を得た。開催形式に関して,ハイブリッドコースがよいと回答した割合が77%であった。職種別の到達度も,医師90.1%,看護師84.0%,救急救命士86.5%であった。結論:これらの結果から脳卒中シミュレーション研修においてハイブリッドコースは可能であり,質の高いコースを定期開催することで地方レベルでの脳卒中診療において地域連携に貢献できると考えられる。