2010 年 13 巻 4 号 p. 558-562
家族内伝播した劇症型A群β溶連菌感染症(Streptococcal toxic shock syndrome,以下STSS)の1例を経験した。症例は60歳代,男性。3日前から感冒症状にて近医で抗菌薬,消炎鎮痛薬等を処方されていたが,呼吸苦も認めたため救命救急センターヘ搬送された。意識清明,体温39.1℃。外表上に異常なく,頭・胸・腹部CTでも異常を認めなかった。 腰椎穿刺施行中,急に血圧が低下し心肺停止となり来院3時間後死亡した。後日,血液培養にてA群β溶血性連鎖球菌(以下A群溶連菌)が検出された。数日後,配偶者も咽頭痛,発熱にて当院受診し,11因頭培養にてA群溶連菌が検出された。両者から検出された菌の血清型および遺伝子型が一致した。孫も同じ症状で当院小児科受診するも迅速検査キットでは陰性だった。家族内発症し, 同じ菌株と同定したもののSTSSに移行した例としなかった例があった。