小児救急医療は,疾患の重症度は低いものの傷病の治療のみならず再発予防や療育環境の是正,育児不安解消など求められる分野は広く,特殊性の強い救急医療である。このような小児救急医療環境のなかで,救急医が小児科研修を行う利点は,(1)ER型救急医としての救急医自体の研修,(2)救急医が周囲の小児科医に与える救急医学の質的影響が挙げられる。一方,受け入れる施設では小児科医の人的な増加となるため,集中治療など救命救急の研修を望む小児科医が成人救命救急センターで研修を行えば,救急医と小児科医が相互に研修を行える交換留学体制の足がかりとなりえる。そのため,将来的な救急医の小児科研修による利点は,(3)救急医と小児科医の交換留学体制の構築,(4)担い手の少ない小児救急医療の人材確保が挙げられる。さらに救急医と小児科医の人的交流が将来的な小児救急医の育成にもつながると考えられる。