日本臨床救急医学会雑誌
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症例報告
造影CT検査が診断に有用であったFitz-Hugh-Curtis症候群の1例
新谷 裕木内 俊一郎
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2010 年 13 巻 5 号 p. 656-659

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抄録

症例は42歳,女性。主訴は右季肋部痛。vital signには異常を認めず,右季肋部に圧痛を認めた。血液検査ではCRP 3.09mg/dlと増加を認めた。腹部超音波検査では肝胆道系に有意な所見を認めなかった。腹部造影CT早期相で肝被膜から肝被膜下実質に濃染像を認め,平衡相では造影効果は消失していた。以上の所見からFitz-Hugh-Curtis症候群を疑い,産婦人科へ診察とクラミジア検査を依頼した。骨盤腹膜炎の所見は認めなかったが,腔分泌液クラミジアトラコマテリスrRNA検査は陽性であった。抗生剤を投与し,腹痛は改善しクラミジア検査も陰性化した。Fitz-Hugh-Curtis症候群は急激な右季肋部痛を訴え救急を受診する。初期対応は産婦人科医ではなく救急医である。救急医は本症候群の概要と腹部造影CTが診断の一助となることを知っておくべきである。

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© 2010 日本臨床救急医学会
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