2010 年 13 巻 5 号 p. 660-663
症例は50歳代の男性,突然の左季肋部痛により当院に救急車にて搬入となった。搬入後,血液検査,腹部単純X線撮影(以下腹部単純Xpと称す),腹部単純・造影CT(Aquillion-16)を施行するも明らかな異常所見を指摘しえなかった。尿検査にて潜血(±)であり,鎮痛薬にて症状は改善したため,尿管結石疑いということで鎮痛薬を処方し,翌日近医を紹介受診することとして,帰宅させた。翌日,当院放射線科読影医師による造影CTの読影により上腸問膜動脈解離の診断で当院再受診となり,入院となった。入院時,症状は改善していたが,血圧が高かったためアンジオテンシンⅡ拮抗薬(以下ARBと称す)を処方し,保存的治療を選択した。入院後も経過良好であったため第10病日に退院となった。救急外来を受診する急性腹症のなかにはこのような症例もあり,画像診断の重要性を再認識させられたため,若千の文献的考察も加え報告する。