救急現場活動中において,階段搬送時に救急隊員が身体負担を感じていると報告されている。本研究は,階段搬送時における救急隊員の身体負担の現状を明らかにすることを目的とした。救急隊員760名を対象に,階段搬送時における身体負担に関するアンケート調査を行った。階段搬送時に身体負担を感じたことがあるのは694名(92%)で,最も負担を感じるのは腰部(481名:69.8%),狭く急な角度の階段(677名:97.6%),傷病者の頭側の搬送位置(342名:52.4%)であり,最も多く使用されている資器材は布担架であった。身長別に腰部負担の発生率について検討した結果,負担発生率は隊員の身長が高くなるほど高率の傾向がみられ,階段搬送時の身体負担は,救急隊員の身長が関与していることが示唆された。